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景気後退の気配を感じさせない底堅さを見せた、2019年8月米ADP雇用統計。

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予想以上に強かったADP雇用統計

政府の雇用統計に先駆けて発表された民間会社ADPの8月雇用統計は、予想よりも良い結果でした。

ADP National Employment Report: Private Sector Employment Increased by 195,000 Jobs in August(ADP)

8月は米中の対立が激化した月でありながら、前月の雇用増加数も、事前のアナリスト予想も大きく上回って雇用社数を増やしています。

  • 予想: 14.8万人増
  • 結果: 19.5万人増(前月14.2万人増)

ADP雇用統計とは

アメリカ労働省の雇用の発表前に、オートマティック・データ・プロセッシング(ADP)社が独自に算出した雇用者数データです。

ADPは給与計算を代行するビジネスを手がけていて、全米で数多くの従業員情報をデータを持っていることから、それらのデータを用いた雇用統計を作成して発表しています。政府発表の雇用統計のほうが重要度は高いですが、その先行指標として毎月注目が集まっています。

「景気が減速している中でも、雇用は堅調」

しかし、8月上旬から米中の対立が鮮明だったにも関わらず、アメリカの雇用は相変わらず底堅いですね。

ムーディーズのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は「景気が減速しているにも関わらず、企業の雇用は堅調だ。採用は緩やかなものの、解雇数が依然として低い。この傾向が続く限り、景気後退を寄せ付けないだろう」と発表資料で話しています。

まだまだ景気後退が近づいている気配は全然感じないです。

2018年のADP雇用者数の平均値は20.8万人、2019年ではそれが17.6万人に落ちているので、緩やかに景気は下降していることはたしかなのですが、それを感じさせないほど雇用の減速ペースは緩やかです。

もしも米中協議が合意したらという皮算用

これだけ雇用が底堅いのなか、もしも米中が貿易協議が合意されて互いにかけあった関税を解除した場合には、アメリカの景気と株はこの上なく力強いものになる気がします。

先日トランプ大統領も、貿易戦争がなければダウ平均は今より1万ポイント高い水準だっただろうと発言していましたが、今からも1万ドルとはいかないまでも、今より株価はずっと高い水準になる可能性はあります。

トランプ大統領、貿易戦争なければダウ平均は今より1万ドル高かった(ブルームバーグ)

そうなると既に半分以下に売った私は儲けが少なくて困るのですが、景気の行方が景気サイクルではなく政治に左右されるような、先が読みにくい展開が終わるのは大歓迎です。

ただ、今の時点では皮算用をせずに、10月にワシントンでの開催が決まった米中の閣僚級会談の結果を待ちたいと思います。

いや、そもそもその前に9月6日の政府発表の雇用統計と、9月17-18日のFOMCですね。様子を見なければいけないものが、大渋滞です。


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