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FRBパウエル議長「米中央銀行は経済拡大のために適切に対処する」

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6月4日米国中央銀行FRBのパウエル議長は、中央銀行が現在の経済動向を監視しており、経済の拡大を続けるために必要なことをすると表明したとして各メディアでニュースが流れています。

断片的な情報ながら、判明したことをこの記事にまとめて書いておきたいと思います。

米政策金利下げ詳細は言及せず

冒頭にも書いたように「必要なことをする」と表明したパウエル議長ですが、今市場が気になっているのはアメリカの政策金利を引き下げる意思があるのか、下げるとしたらどのタイミングなのかです。

現在の市場は2019年内に2回の利下げを期待しており、前日セントルイス連銀総裁のジェームズ・ブラード総裁も早期に利下げが必要になる可能性について言及しましたが、今回パウエル議長から直接利下げに関する発言はありませんでした。

参考記事:「米政策金利引き下げ、早期に必要になるかも知れない」セントルイス連銀が発言

FRBパウエル議長が発したメッセージ

FRBはこうした公の場で、どの立場の人が何を発言するかは細かくコントロールするはずなので、利下げに関してはまだパウエル議長が詳細を発言するほど緊迫した状況ではないですよと、市場にメッセージを送っているようにも見えます。

また同時に、経済状況が悪化すれば金利低下も前向きに議論する姿勢を見せたとも取れます。

実際、経済の状況が変化したら直ぐに適切な対応が取れるように、中国・メキシコとの関税やりとりと、急落している米国債利回りを注意して見守っている旨を話しています。

「(貿易戦争について)この問題がいつどのようにして解決されるのか、私たちは知りません。われわれは、これらの問題が米国経済にどのように影響を与えるのかを注意深く監視しており、そして普段からそうしてきたように、約2%目標にインフレ目標、力強い雇用情勢、経済拡大を維持するために適切に行動するつもりです。」

次の不況でのFRBの打ち手

さらに気になる点があるとすれば、次のリセッション(景気後退)の兆候が見え始めた時に、FRBがどのような手段を講じるかです。同じ日のパウエル議長の発言から見えてきたのは、基本的に前回のリーマンショック時の対処法に従う方針のようです。

通常の景気後退期には、中央銀行は政策金利を下げることで対応してきましたが、金利をゼロに引き下げてもなお対処しきれなかったリーマンショック時には以下3つを行っており、次のリセッション時もこの3つがベースになるようです。

  • (1)金利をゼロまで引き下げる政策金利のコントロール
  • (2)FRBが市場の債権などの資産の購入する非伝統的な手法
  • (3)金融政策決定会合FOMCメンバーによる今後の金利動向予測(ドットプロット)の公開

ただし、(3)については緊迫した経済状況でのドットプロットは当てにならない可能性があるとして、パウエル議長は状況によっては効果が薄いことを認めています。

なおリスク要因も残る中央銀行による資産購入

ここで注目なのは、(2)のFRBが資産を購入する手段を次のリセッションでも取りうるということです。現在の政策金利は2.5%で、ゼロ金利まで下げたとしても下げ幅に限りがあるので、(2)手段を取るのは仕方のないことかも知れません。

しかし、リーマンショック時もFRBが大量に国債を購入してから一部は処分したものの、FRBの資産額は過去に例がないほど高水準に膨れています。私の勉強不足もあって申し訳ないのですが、中央銀行の資産額が膨れた時にどんな弊害がでるのか、何のリスクに備えなければならないのか、いまいち掴みきれていないです。

そもそも中央銀行が市場の資産を購入するのは非伝統的手段と呼ばれているように、過去にあまり例のないことなので、偉い学者でも予測が難しいのだと思っています。

リーマンショックの対応からこの前例のない「壮大な社会実験」を実施し始め、景気回復した今の時期までに本来であれば購入した資産も全て処分できていれば、この実験の検証までできたはずです。でも、あいにくFRBは景気後退の影響を配慮して、処分を途中で断念したので検証には至っていないと理解しています。

まだ、引き続き世界の中央銀行は「壮大な社会実験」の中にいるわけですが、次のリセッションで(2)の資産購入を再開すれば、再び中央銀行の資産が膨れる方向に動きます。

この実験は次のリセッションで延長線に突入するわけですがその先に何が起こるのか、未知への恐怖もありますが、興味があります。


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