この記事を書いている3月9日、週明けの月曜日から市場が慌ただしくなっています。
その大半が良くないニュースです。
3月9日荒れた市場
- 原油:一時31%の急落
- 米国株先物:S&P500が一時5%下落
- 10年米国債:0.5%の歴代最低利回りを更新
- ドル円:大幅に円高ドル安で3年ぶりの101円台
「いったい、何が起こっているの?」と混乱してしまわないように、この記事では今の経済の状況を整理した上で、どうやって自分の資産を守るかを考えていきます。
急激な原油安があらゆる市場に影響した3月9日
結論からいうと、新型コロナウイルスで今後数ヶ月の米国の経済が停滞しそうなところに、急激な原油安が起こってエネルギー産業の景気が急速に悪化する懸念ができたというのが、今の状況です。
3月9日に起こった現象の仕組み
- 新型コロナウイルスで今後数ヶ月の間、経済が停滞しそうだった。(特に運輸・レジャー業界は損害大)
- 【New】主要な産油国が集まる会議で原油価格調整の交渉が決裂。原油価格が急落した。
- 急な原油安で、エネルギー産業の経営悪化が不安視された。エネルギー株を中心に、株が急落。
- 新型コロナウイルスの影響に加えて、エネルギー産業の経営悪化懸念で、米企業の社債デフォルトリスクが高まった。
- 米企業の資金繰りを助けるための利下げ予想が更に進み、米10年債利回りが急低下した。
- 米国の金利が下がれば、ドルを保有する価値が少なくなるので、円高ドル安が進んだ。
きっかけは新型コロナウイルスと原油安ですが、今後火がつくとインパクトが大きいのは、米企業の社債の支払いの問題です。
3月8日の朝のニュースにもなっていましたが、新型コロナウイルスの影響を受けて、米国企業の社債が払えなくなるリスクが急速に高まっていると、JPモルガンがレポートしています。
社債が不払いになるリスクを示す指数は急上昇していて、1日の上昇率としては2011年以来最高を記録しています。
出典:『JPMorgan Strategist Sees Early Signs of Credit-Market Stress(Bloomberg)』
米国企業の社債が膨れている問題は、表面化するとかなり深刻なダメージを引き起こすと思っています。この社債の問題を抑え込めるかどうかが、今後の展開をかなり左右すると思っていると、こちらの記事でも書きました。
>>【新型肺炎ではない】アメリカが急激な利下げをする本当の理由
どうやって資産守るか
これだけ市場が荒れてしまうと、どうやったら自分の資産を守れるんだと思ってしまいます。
この記事を書いている3月9日時点では、投資家がこぞって買っている米国債を保有することで、株価の下落を抑えることができるかも知れません。
株は急落していますが、米国債はこの1ヶ月間上昇を続けています。
この国債はまだしばらく買われると思います。元FRB議長のアラン・グリーンスパンも米30年債の利回りがマイナスまで買われる可能性もあると発言しています。
出典:『グリーンスパン氏、米30年債利回りマイナス突入の可能性は除外できず(ブルームバーグ)』
ただし、さすがにマイナスの利回りまで買われると、国債が買われるスピードも落ちてくるはずです。マイナスの利回りの資産を持つくらいなら、現金のほうがマシだからです。
つまり、今は国債を持っていれば、株の下落しても資産を守れる状態にありますが、それも長くは続かない恐れがあります。
国債の価格上昇に限界が来たら、次の候補は金
国債が買われなくなるゼロ利回りが近づいていることを考えると、次なるオプションも用意しておく必要があります。
たぶん、国債の次の候補の筆頭は金(ゴールド)です。
10年国債利回りがゼロまで達しても景気が上向かない場合は、FRBは大量に国債を購入する量的緩和して10年国債利回りを低く抑えつつ、アメリカ政府は多少のインフレを覚悟で大量の国債を発行して景気刺激策を打つ可能性が高いです。
10年利回り低下にも、インフレにも強い資産が金なので、国債の次に金は購入資産の候補になりえます。
金の価格が上昇する場合
- 10年国債利回りが低下する場合
- インフレ率が上昇するとゴールドの価格があがる場合
>>【参考記事】金の価格が上がる理由。本質はインフレ率と金利です。
まとめると、しばらくは国債で資産を守り、そして国債利回りがゼロやマイナスになったら、次の逃避先は金がいいと個人的には思っています。切り替えのタイミングが重要になりそうですが、国債の価格が上昇したら、少しずつ金の割合を増やすことで調整しようと考えています。