アメリカの経済が順調か不調なのかを知るために、雇用が増えているかどうかはとても重要です。
雇用が増えていれば、企業は積極的に人を増やしてビジネスを拡大させていることがわかり、賃金が増えた労働者はさらに消費を拡大させる好循環が生まれると予想できるからです。
ただ、2019年の12月アメリカの雇用は予想よりやや悪かったです。でも、悲観的になるほど悪い内容ではなく「なんか弱い数字だな」という程度でした。
2018年の景気が力強かった頃に比べると、2019年の雇用は弱まった印象がありますが、株が大きく下がるような展開にはならない。そんな雇用統計でした。
12月の雇用は予想よりも弱かった
早速、結果を振り返っていきます。
- 雇用者数:予想16万人増加を下回る14.5万人
- 失業率:予想3.5%と一致
- 賃金増加:予想3.1%増を下回る2.9%
ちょっと気になる点は、賃金上昇が低下したことです。2018年7月以来、久々に賃金上昇が3%を下回りました。
雇用者数の伸びが予想をわずかに下回っても、失業率が歴史的に低水準なので仕方ないかなという程度ですみます。でも、12月はあれだけ市場が景気になっているなかで賃金上昇率が下がっているのは、実体経済は市場が思っているほど強くないのかなという印象も感じます。
毎月の雇用者数は上のグラフで見ても、毎月かなりバラツキがあるのですが、雇用の伸びは緩やかな減少傾向にあります。
この雇用の伸びの鈍化の影響なのか、2018年から2019年にかけて個人消費の伸びはだいぶ弱まっています。
出典:Real Personal Consumption Expenditures- FRED
実は、数日までに民間企業のADP社が発表していた雇用統計では12月の雇用は予想を超える力強い内容でした。ただ、今回のより注目度が高い政府発表のものは反対に良くない結果で、この違いはどこから来ているものなのか気になるところです。
>>参考記事:【2019年12月ADP雇用統計】製造業の雇用の不振をサービス業でカバーするアメリカ。
株への影響は限定的
ただし、今回の雇用統計はそんなに市場は悲観的に捉えていないようです。さすがに、株はわずかに下落しましたが、大きな下落にはなりませんでした。
アメリカ政府や中央銀行は11月の大統領選までは決して市場にダメージが出ないように動くし、景気が悪くなれば下支えするので、ちょっとした下落はあったとして2020年前半の株は好調をキープしそうです。
12月の経済指標は強弱まちまち
この週から12月のアメリカの経済指標がぞくぞくと発表され始めましたが、結果はかなりまちまちですね。
前月よりも調子が良いのはサービス業、あまり良くないのは製造業・消費者の景気・雇用というところでしょうか。12月は米中貿易合意やホリデーシーズンのセールの好調ぶりがニュースになっていたのに、フタを開けてみるとそこまで盤石な景気ではないようです。
ただ上でもお話したように、株は特に問題なく推移しているので、しばらくは様子見をしたいと思います。
12月米経済指標 | 予想以上 | 予想未満 |
---|---|---|
前月以上 | ADP雇用統計 ISM非製造業 |
– |
前月未満 | – | 雇用統計 ISM製造業 コンファレンスボード消費者信頼感 |