2月のアメリカの小売売上高が発表されたので、結果を見ていたのですが少し低迷しているようです。
前月の1月を思い返してみると、1月はかなり好調だったのですが、この月のアメリカは貯蓄を切り崩しながら消費をしているように見えたので、これでは長続きしないと心配していたところでした(詳細記事)。
2月も小売の売上金額は伸びているものの、インフレの成長に勝てていない構図が見られます。
つまり物価が上がっただけで消費は低迷している模様です。
この記事のポイント
- 2022年2月の小売売上は予想を下回った。
- 前月比+0.3%伸びていたが、インフレの影響を考慮するとマイナス0.5%で消費は伸びていなかった様子。
- インフレを抑えるための政策金利引き上げは始まったばかり。まだしばらくインフレが経済成長を妨げる動きが続きそう。
一見すると悪くなかった22年2月の米小売売上
2月のアメリカの小売売上高の数字を確認していきます。
- 予想:前月比+0.4%
- 結果:前月比+0.3%
冒頭で2月の小売は良くなかったと言いましたが、上の数字をみるかぎりそこまで悪い印象はないと思います。
予想は下回りましたが、前年比+0.3%(1年間で+3.7%のペース)は決して悪い数字ではありません。
以下に、2019年からの小売売上高(金額)のグラフを載せましたが、新型コロナ流行前に比べて売上金額は順調に伸びているように思います。
もしもこういう数字しか見ていない場合には、「アメリカは景気が良い」という言い方がされると思います。
消費の伸びがインフレに負けているアメリカ
しかし、アメリカの最近の物価の上昇を考慮した場合には、見える景色がかなり変わってきます。
次のグラフは、インフレの影響を除いた実質の小売売上高ですが、2021年前半から売上が伸びていなく成長が止まっていることがわかります。
ここまで見た2つのグラフを合わせて考えると、小売売上が一見して上昇してるように見えるのはただ物価が上昇していただけで、この1年間で消費はほとんど成長しなかったことになります。
また、「2月の小売は前月比+0.3%で伸びていた」とさきほど言いましたが、この数字は物価上昇分を含んだ数字なので、物価の上昇分をのぞくと成長率はマイナスになっています。
- 小売売上高:前月比+0.3%
- インフレ調整後:前月比-0.5%
2月は売上が伸びたように見えましたが、全て物価の上昇によるもので、実質消費は悪化していたようです。
ちなみに、2月の小売が悪かったのは確かですが、それでもまだアメリカは景気後退入りはしていないと思います。
1月の売上がとても良かったので、2022年1-3月期はプラスの経済成長率を維持するとはずですし、2月は良すぎた1月の反動で低迷していることも十分考えられます。
インフレの悪影響はまだ続く
ここまでアメリカの2月の小売は低迷していること、物価の影響を受けてこの1年間は小売が伸び悩んでいることを書いてきました。
元凶はアメリカのインフレなのですが、それを抑えるための政策金利の金利の引き上げは3月から始まったばかりです。
政策金利は1回分(0.25%)引き上げただけでなので、物価の上昇が抑える力はまだ強くありません。
というわけで、インフレが経済の成長を妨げる動きはまだまだ続くのだろうと思います。