G20米中会談後に関税発動はあるか
6月28、29日にG20首脳会議が大阪で開催されます。この会談には、世界中の注目が集まっています。
米中の貿易協議を巡る首脳会談がセットされており、会談の内容を受けてトランプ大統領が中国に対して関税をかけるかを決めるためです。
既に米国への2000億ドルの中国の輸入に対して25%の関税引き上げを実施しましたが、G20後に関税引き上げが決まれば、さらに3250億ドルの中国からの輸入品に対して25%の関税がかかることになります。
ちなみに、既に出ている報道の内容が正しければ、争点は貿易協議が合意に至るかではないです。2500ページに及ぶ作成中の合意文書のいたるところを中国が覆してきたため、再び合意に至るためには詳細な詰めの協議を10ヶ月以上要する状態だからです。
よってトランプ大統領と習近平の会談の後は、今後の協議予定や協議上の基本ルールなど枠組みの合意に留まると見られています。
争点は、今後協議を継続するとの声明の後に、トランプ大統領が関税を課すかどうかです。
関税引き上げはトランプ大統領の判断に
今までのトランプ大統領は「合意に達しない場合には関税を課す」と発言してきました。その言葉通りに捉えれば、米中会談の成果が今後の協議継続だけで終わるようであれば、関税を発動させることになります。
しかし「今後、協議を続けて合意を目指しましょう」と言った直後に「関税は引き上げますけどね」というのでは、今後ともに協議する相手としてあまりに好戦的すぎます。
なので、貿易戦争はまだ終結しないものの、今後の協議進行中は関税をかけない判断をする可能性があります。
これだけ文字数をかけて、結論が平凡で恐縮なのですが、判断はトランプ大統領に委ねられている状態です。
関税を発動した場合は、FOMCは利下げで景気後退入りへ
今後のストーリーとしては、米国が関税を発動した場合は7月31日米金融政策決定会合FOMCで利下げの展開が濃厚になります。
ただ既にアメリカ経済は景気のピークを昨年に迎えているという指摘もあるので、貿易戦争によって景気減速が勢いを増し、景気後退入りして株価下落を起こす展開になりそうです。
私はこのストーリーを見据えて、投資資金を準備しつつあります。なので、この展開が来ることを待ち望んでいます。関税が発動され、利下げも実施されれば、株を徐々に売却予定です。
関税発動が回避された場合は、米経済はゆるやかに下降か
一方で、悩ましいのはG20の米中会談後に、関税が発動されなかった場合です。FRBのパウエル議長は貿易協議の様子を見て適切に行動すると言っているので、関税発動がなければ次回7月31日FOMCでの利下げもない可能性が出てきます。
このストーリーになると、今後の展開が非常に読みにくいです。米中がいつ合意に達するのかも不明瞭で、FRBもいつ利下げをするかもわかりにくいです。
関税が発動された場合はハードランディングの景気後退入りですが、関税発動がない場合はゆるいソフトランディングで緩やかに米国経済が減速するのかもしれません。
長くゆっくりとした景気後退の展開になった場合は、かなり厄介です。今後景気が悪くなることが見えつつあるので、追加投資するのも気が引けますが、余剰資金を現金で保有するのも無駄が発生します。
その場合、先日検討したように現金で保有するくらいなら債券ETFを保有する流れを加速させようかとも考えています。