2019年後半になってから、アメリカでは住宅事情は好調なようです。
12月に発表された2019年11月の住宅着工件数の指標を見ても、前月に引き続き住宅建設数は順調な様子が見えてきました。
この記事のポイント
- 2019年11月の米国住宅着工件数は好調をキープしている様子
- 好調の理由は、住宅ローン金利が低くなっていること。
- ただし、住宅ローン金利を左右する米10年国債の利回りが上昇に転じているため、これからは少し伸び悩む恐れあり。
- 住宅着工件数は11月の指標の中で良い結果が出来てた珍しい指標だった。
堅調だった19年11月の米住宅販売
住宅着工件数は堅調でした。事前のエコノミストの予想を上回っただけでなく、好調だった前月の結果も上回っています。
- 住宅着工件数:予想134.5万件を上回る、結果136.5万件(前回の132.3万件も上回る)
- 建築許可数:予想141.0万件を上回る、結果148.2万件(前回の146.1万件も上回る)
家を立てる前には許可が必要なので、建築許可件数は住宅着工件数に先行して動く指標なのです。建築許可件数も順調に伸びていることから、まだもう少し住宅着工件数は今後も伸びていきそうです。
住宅販売好調な理由はローン金利の低下
住宅着工件数が好調な理由はローン金利の低下です。
アメリカでは、2019年初めまで5%弱近くあった米30年住宅ローン金利は、直近では4%を切るまでに低下しています。
金利が安くなったことで、今のうちにローンを組んで家を買おうとする動きが活発化しているようです。
アメリカの住宅ローン金利は今後しばらくは上昇へ
ただし、アメリカの住宅ローン金利はこれからジワジワ上がる恐れもあります。アメリカの10年国債利回りが19年夏以降、少しずつ上昇しているからです。
住宅ローン金利は、10年国債利回りの金利の影響を強く受けるので、今後しばらくの間は住宅ローンの金利も上昇していく恐れもあります。そうなると、せっかくの住宅を買う動きも鈍くなるかも知れません。
住宅販売は19年11月で好調だった数少ない指標
2019年11月分の主な指標の発表も一段落しましたが、11月は10月に比べて景気がやや減速した印象があります。
11月で良かった指標は、ミシガン大学が調査した消費者の景気と、この記事で取り上げた住宅着工件数くらいでした。
(雇用統計と鉱工業生産指数も前月を超えましたが、GMのストライキ解消の影響が大きかったので、単純比較できませんでした。)
11月米経済指標 | 予想以上 | 予想未満 |
---|---|---|
前月以上 | ミシガン消費者信頼感 住宅着工件数 (雇用統計) (鉱工業生産指数) |
– |
前月未満 | – | ISM製造業 ISM非製造業 コンファレンスボード消費者信頼感 ADP雇用計 コア小売売上高 |
11月のアメリカは連日、株価が最高値を更新していたのに、なんだかパットしない経済指標が続いていました。
個人的に、一番気がかりなのはアメリカのGDPの7割を占める個人消費が伸び悩んでいることです。
以下のグラフは、2015年以降の個人消費の前年比成長率をグラフ化したものです。
出典:『Real Personal Consumption Expenditures』
2018年夏をピークに、2019年はずっと個人消費が減少している様子が見えてきます。
市場では、アメリカの景気後退を心配する声がだいぶ無くなりました。ほとんど聞こえなくなったと言ってもいい程です。
でも、経済指標を見ている限りは、まだ景気が上向いている実感がありません。住宅はローン金利の低下を受けて、いち早く好調になりましたが、その他の実体経済を押し上げるには、まだ時間がかかるのかも知れません。
好調の株価と同じように、アメリカ経済も上向くのかどうか、今後も注意が必要な展開です。