コンテンツへスキップ

アメリカ利上げの悪影響はまだ企業利益に及んでいない

  • by

米国株に強気な人が本当に増えていると感じます。

米国企業を見ているアナリストたちの予想を見ても、これからS&P500の一株利益成長率は右肩上がりが予想されており、世界はバラ色に見えます。

そんな中で水を指すわけではないのですが、私はまだバラ色な気分にはなれていません。

過去のデータを見ていると、アメリカの利上げの悪影響はまだこれからやってくるのではないかとも思うからです。

この記事のポイント

  • 4-6月期の決算は悪くなかった。アナリストは今後はS&P500の企業は一株利益の成長率が伸びていくと予想している。
  • しかし、S&P500の一株利益に先行して動くアメリカ2年債利回りの動きを見ていると、今後の一株利益の見通しは明るくない。2024年第3四半期までの低迷が示唆されている。

強気なアナリストたち

4-6月期のアメリカ企業の決算は好調な業績が続いています。

こうした順調な決算を見てか、現時点でアナリストたちはこれからS&P500の一株利益(EPS)は右肩上がりに成長率を上げていくと予想しています。

上図の予想が本当に実現されるなら、これからS&P500の企業の一株利益は順調に伸び、株価を支えるはずです。

利上げと一株利益の関係

しかし、私はやはりどうしても腹落ちしない点があります。2022年からの強烈な金融引き締めが続いているのに、どうして米国経済は耐えられたのでしょうか。

もちろん、雇用が強いとか消費者はコロナ流行時にためた貯蓄があるから、消費が続いているという見方もできます。

しかし、そもそも、まだ利上げの悪影響が企業の業績に及んでいないだけではないかという考えも浮かびます。

一般的には、利上げの悪影響が企業の業績に及ぶまでには長いタイムラグがあると言われているので、それを少し調べてみることにしました。

利上げの影響が企業利益に及ぶのは1年9ヶ月後

調べるのは少し苦労したのですが、あれこれやってみた結果、どうも「(利上げに反応しやすいと言われている)アメリカ2年国債の利回り」と「S&P500の一株利益(EPS)」の関係が深そうです。

上図の濃い青線はS&P500の企業の一株利益(EPS)の前年からの伸び率を表しています。

一方で、上の図の水色の線は、2年債利回りの前年との差を表していますが、2つのグラフの動きが似ていることを示すために上下を反転させています。1年前よりも利回りが上がれば、グラフは下に向かうイメージです。

その上で、水色の線だけ7四半期(1年9ヶ月)右にずらしてあげると、上図のように2年債利回り差(水色線)とS&P500の一株利益(青線)はかなり近い動きをすることがわかります。

グラフの作り方はどうでもいいのですが、政策金利の動きに敏感に反応する2年債利回りと、なかなか金利に反応しないS&P500の一株利益が1年9ヶ月ズレながら似たような動きをするということから、企業の一株利益(株価)に利上げの悪影響が及ぶには1年9ヶ月かかるのではないかと推測することができます。

利上げの悪影響は2024年第3四半期まで企業の一株利益も押し下げる

さて、もしも利上げの悪影響が企業利益に及ぶまで1年9ヶ月かかるのだとしたら、まだ企業の利益は底を打っていないのではないかと私は思います。

次の図に印をつけたように、2年債利回りの動きから推測するとS&P500の企業利益は2024年第3四半期頃に底を打つことを示しているからです。

もちろん、2年債利回りが過去のS&P500の一株利益の動きを当てていたからと言って、今回も同じようになるとは限りません。

上のグラフ1つで判断することはできないのですが。アナリストたちのように企業利益も株価も右肩上がりを期待して楽観するのはまだ早いと思っています、


本ブログからのお願い

この記事は、読者が自由に記事の金額が決められるPay What You Want方式をとっています。

「役にたった」「面白かった」など、何かしら価値を感じた場合は、YUTA'S INVESTMENT TICKETをクリックして、価値に見合った金額をお支払い下さい。

価値がないと思った場合には、お支払いは不要です。同じ記事を読み返して、新しい気づきがあった場合には、1人で何回クリックしても問題ありません。