米スーパーマーケット大手ウォルマートの2020年2-4月期の決算発表がありました。結果は良かったです。
今期は新型コロナウイルスの巣ごもり需要で、売上は急成長しています。また、ウイルス感染対策や従業員への給与や福利厚生改善のために営業利益は圧迫されましたが、それでも利益も成長を見せています。
ただ、ウォルマートの経営陣は好調な業績も一時的な恐れがあり、また前例のない事態なので今後の業績も見通しがきかないとして、今後の業績見通しも撤回するなど慎重な姿勢を見せています。
この記事のポイント
- ウォルマートの20年2-4月期(21年度第1四半期)の決算は、売上・利益ともに予想を上回る決算だった。
- 米国の既存店売上は10%上昇し、インターネット販売は前年比74%で成長が加速した。
- ただし、ウォルマートは今後の業績にはかなり慎重な姿勢を見せており、既に発表した業績見通しを撤回した。
2020年2-4月期結果
ウォルマートの決算の数字を見ていきます。
- 調整後一株利益:1.18ドルで、予想を0.09ドル上回る。
- 収益:1346.2億ドルで、予想を37.1億ドル上回る(前年比+8.7%)。
単位:10億ドル | 1Q21 | 前年比 |
---|---|---|
収益 | 134.6 | 9% |
営業利益 | 5.2 | 6% |
営業利益率 | 3.9% | – |
EPS | 1.4 | 5% |
調整後EPS | 1.18 | 4% |
普段から高成長なハイテク企業を見ている人には伝わりにくいかも知れませんが、ウォルマートとしては「かなりの成長の加速」が見られた決算でした。
以下の売上成長率(前年比)のグラフを見てみると、今期は成長率が突出して高くなっています。2-4月期に売上成長が加速したことが見て取れます。
営業利益についても売上ほどの伸びではないですが、前期に比べると成長が加速しています。
新型コロナウイルスの流行時には、従業員の安全を確保するためのマスクやフェイスガード、店舗や倉庫内の消毒、スタッフの増員にコストがかかったため、利益はやや圧迫されたと説明がありました。
既存店売上とネット販売売上が急上昇
ウォルマートほど大きな企業になっていると、新規店舗ではなく既存店の売上がどれほど伸びているかが重要になります。
既存店舗の売上成長率を見ても、前年比+10%と近年見たことがない数字になっています。
また、アマゾンに対抗するために重要視されているネット通販では、売上は前年比+74%とかなりの好調を見せています。
新型コロナウイルスの影響について
今回の決算発表では、新型コロナウイルスの影響について重点的に説明があったので、こちらでまとめておきます。
- 2-4月期のウォルマートは、前例のない強い消費者需要が見られた。
- 一方で新型コロナウイルスの衛生対策とスタッフの賃金上昇でコストがかさんだ。新型コロナウイルス関連のコストは9億ドルに上る。その4分の3は賃金とボーナスだった。
- 5月の売上もかなり順調だが、これは景気刺激策などの影響を受けた一時期なもので、通年続くとは考えていない。前例のない状況が続いているため、通期の業績見通しを撤回した。
また、新型コロナウイルスの影響を受けた消費者行動の変化について詳しく説明がありました。
- 少ない買い物の回数で、カゴいっぱいの商品を買うようになった。買い物回数は6%減少した一方で、1回あたりの購入金額は16%上昇した。
- 衛生関連の商品は飛ぶように売れた。ペーパータオルや消毒剤は通常2-3日で販売する量を、2-3時間で売れきれた。
- 新型コロナウイルス流行と共に、購入するアイテムも変化が見られた。初期フェーズではトイレットペーパーやパスタソースなどの家の長期滞在に必要な消耗品、次のフェーズはパズル・ゲーム・自転車などのレクリエーションが売れた。
- 4月後半には、政府の給付金の刺激策のおかげでアパレル、テレビ、ビデオゲーム、スポーツ用品の売上が加速した。
2-4月期好調も業績見通しは撤回
ただし、これだけ2-4月期が好調だったのにも関わらず、ウォルマートは慎重姿勢を崩しませんでした。
新型コロナウイルスは前例のない事態で先を見通しずらい上に、2-4月期は景気刺激策の現金給付などの一時的なイベントが売上を押し上げていたとして、今後の業績は見通しは撤回しました。
株主としては、本当は今後も堅調な業績が続くとの発言を聞きたいところなのですが、今年に限っては事情が事情なので業績見通し撤回でも仕方ないです。
ウォルマートの発表では5月に入ってからも売上は好調が続いているとのことですが、米国では外出規制が解除される州が続々と増えて、スーパー以外での消費も増えるはずなので、6-7月は2-4月ほどのウォルマートへの強い需要は見られないかも知れません。
ただ、新型コロナウイルスはいつ収束するのか、流行の第2波が来るのか来ないのかは見通しにくいので、まだしばらく保有してていても良いかも知れません。
私は一部のウォルマート株は売るかも知れませんが、全て売らずに一定数は安心のためにずっと保有を続けるつもりです。