9月の米国サービス業の景気の強さ(景況指数)がISMから発表されました。
結果は、思っていたよりも良かったです。9月はアメリカでも新型コロナウイルスの感染者数が減ったので、レストランや旅行などの需要が少し戻ったためかも知れません。
ただ、仕入れ価格上昇もかなり貢献しているのは少し注意が必要かもしれません。
また、製造業と同じように景気が良いのに、雇用がそれほど伸びていないのは少し気になります。どうも従業員が高い給料をもとめて転職してしまう動きが活発で人手不足が解消しないようで、賃金上昇の圧力は強そうです。
サービス業の景気が強いのは良いことなのですが、それ以上に物価の上昇が気になる結果でした。
この記事のポイント
- アメリカのサービス業の景気はまだ力強く拡大している模様。
- 注意が必要なのは仕入価格が上昇している点。サービスの価格が上昇しやすい環境はまだ続いている。
- 景気が良いのに雇用の伸びがイマイチな点も注意。企業は景気が良いのに人が足りていないなら、賃金上昇(長期的なインフレ圧力)につながる。
まだ好調が続くアメリカのサービス業
9月のアメリカのサービス業の景気は、予想以上よりも良い結果になりました。
- 予想:59.9
- 結果:61.9(前月:61.7)
50を超えていれば景気拡大を意味するのですが、今月は61.9と大きく50を上回っています。
また、予想に反して前月よりも景気は上向きました。
サービス業は製造業よりもコロナの影響を受けやすいので、9月にアメリカの新規感染者数が減ったことが、良い影響を与えているのかも知れません。
詳しく見ると、サービス業の需要の伸びに関連する項目(新規受注63.5、受注残61.9など)の数字は前月とほぼ同じで変わらなかったのですが、私はこれからアメリカ企業の景気の勢いは弱まっていくと思っていたので、意外にも粘り強く景気拡大を続けているのは良い誤算でした。
気になったのは根強いインフレ圧力
今回のサービス業のデータを見ていて、やはり気になるのは仕入価格の上昇です。
ここ何ヶ月か落ち着いていてきた仕入価格は再び上昇しました。
仕入価格の数字の77.5という数字は、他の項目と比較しても突出して高いです。
一時期ほどの仕入価格の急上昇は見られなくなりましたが、やはりインフレ圧力は強いのだと感じます。
また、景気が良いのにも関わらず雇用の伸びはあまり良くありません。
50は超えているので雇用が増えていることは確かなのですが、ISMが調査したあるサービス業は「あらゆる人材が足りていない」と回答しているようです。
従業員はより高い賃金の仕事を得ようとしていて、その結果、仕事に空きが出てしまう。
(ISMの調査に回答した企業のコメント)
このコメントを読む限り、やはり賃金上昇が高まっているように見えます。
さいごに
別の調査では9月のアメリカのサービス業の景気は勢いが鈍化して心配していたのですが、ISMの調査ではまだ米サービス業の景気はそこそこ強いことが確認できました。
ただし、仕入価格が上がっている点、賃金上昇が起こりやすい状況になっている点を考えると、インフレ圧力は根強いのだろうと感じる結果になりました。
夏場にアメリカはインフレ圧力が少し和らいだのですが、まだ警戒を解くのは早そうです。