ネットフリックスに決算発表がありました。
最近低成長に苦しんでいるネットフリックスですが、1-3月期も正直言うと精彩に欠ける感じでした。
この企業は安定した売上は見込めると思いますが、目標に掲げている売上の二桁成長への回復までにはもう少し時間がかかりそうだと感じました。
この記事のポイント
- ネットフリックスは一株利益は予想を超えたが、売上は予想を下回る前年比4%にとどまった。
- ネットフリックスのパスワードを共有しあってタダで視聴しているユーザへの対応は、4-6月期で世界で幅広く行われる予定。
- 目標に掲げている売上2桁成長への回復までにはしばらく時間がかかりそう。
低迷するネットフリックスの成長率
1-3月期のネットフリックスの業績を見ていきます。
一株利益は予想を上回った一方で、収益は予想を下回る結果になりました。
- 一株利益:$2.88(予想$2.86)
- 収益:$8.16B(予想$8.18B)
正直なところを言うと、どうもパッとしないなという印象が拭えません。
具体的には収益の伸びが前年比+4%では低すぎます。下の図は近年のネットフリックスの売上の伸びをグラフにしたものですが、低成長が続いていいることがわかります。
まるで古くからあるマクドナルドやコカ・コーラなどの老舗企業のような成長率です。ネットフリックスは今後も安定して成長すると思いますが、安定感だけなら老舗企業への投資で十分です。
投資家はネットフリックスに対して、安定した二桁成長を期待していると思うので、その実現が待たれます。
売上げ増加への取り組み
では、成長率を上げるために今のネットフリックスは何をしているのでしょうか。
決算報告で話があったのは、次の点です。
- (1)ユーザのニーズに合わせた様々なプランの提供
- (2)国に合わせた価格の見直し
- (3)ネットフリックスをタダで視聴するユーザへの対応
少し前の話ではありますが、ネットフリックスを高いと感じているユーザには広告つきの安いプランを用意したり(上記1の例)、2021年にインドで20%-60%価格を落としてユーザ獲得に動いたりしてきました(上記2の例)。
今回の決算で詳細な話があったのは上記3点目についてです。
パスワード共有への対応
せこい話ではあるのですが、今ネットフリックスを見ている人の中にはパスワードを共有してもらってタダで動画を見ている人がいます。
ネットフリックスはそのような悪質なパスワード共有を禁止する取り組みを強化して、取り逃している売上を確保しようとしています。
そしてその対対応は既にニュージーランド、カナダ、ポルトガル、スペインでは始まっているようです。
いつも見ている場所以外からネットフリックスを視聴するときには追加料金を支払ってもらう仕組みに変えたことで、一時的に解約は増えましたが、しばらくするとパスワード共有でタダで見ていたユーザが新規で低額プランに入る動きが見られたので、結果的に収益は増えたと報告がありました。
このパスワード共有への対応は第2四半期(4-6月)に世界の国に展開していくようです。第3四半期頃には一時的に売上は減少するようですが、長期的には良い結果を生むとネットフリックスは言っています。
予定されていた会員数の成長や収益の一部は第3四半期に落ち込むことになるが、結果的には会員にとってもネットフリックスにとっても良い結果になることを信じています
というわけで、ネットフリックスも売上成長率を二桁に戻す取り組みをしているようです。
ただ、結果が出るまでにはまだ時間はかかりそうです。
そもそもアメリカの景気もしばらくさえないままだと私は思っているのでまだ株を買うつもりはありませんが、景気の谷を抜けたときにネットフリックスが買える状態になっているかどうかは、今後の決算で確かめてからにしたいと思います。