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いつもどおり楽観的な株式投資家と悲観的な債券投資家

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最近の市場を眺めていると株式投資家はまだ楽観的、一方で債券投資家は悲観的になっていると感じます。

景気に陰りが見えてくるとたいてい債券投資家のほうが早めに悲観的になるのですが、今回もその様子が見られます。

そして、その多くの場合に株式投資家の楽観は間違えで、債券投資家の悲観が正しいことが多いので、今回もそうなると私は思っています。

この記事のポイント

  • 米国株のアナリストは今後もS&P500企業の一株利益は順調に伸びると予想していて、景気後退による業績悪化は織り込んでいない。
  • 一方で、金利先物市場の投資家は遅くとも2023年6月にはアメリカで景気の悪化が見られると予想している。

楽観的な株式投資家


2022年の米国株は調子が悪いのですが、企業の業績はとても順調に推移しています。

また、アナリストたちのS&P500採用企業の2022年と2023年の一株利益予想を見ても、月日が立つほどに上昇しています。

6月後半から少しだけ利益予想が低下しているようにも見えますが、この順調な利益の伸びを見る限りは2022年も2023年もアメリカに景気後退はないと言っているようです。

悲観的な債券投資家


しかし、一方で悲観的な意見を持つことが多い債券投資家が見ている世界は違います。

それはこの1ヶ月間で、債券投資家たちが急速にアメリカの利上げ予想を変えてきたことからも分かります。

次のグラフは金利先物市場の投資家によるアメリカの利上げ予想ですが、この記事を書いている7月5日現在と約1ヶ月前でだいぶ大きな変更がありました。

まず全体的に政策金利の引き上げ予想が低下しているのですが、恐らくこの1ヶ月で債券投資家が景気後退を急速に織り込んだためだと思います。(景気悪くなるから、こんな大きな利上げは無理だと考えたのでしょう。)

利上げが22年12月で止まっていることを考えると、それ以上は政策金利を上げられないと判断してしまうような景気の低迷が、年末から年明けにかけて見られると考えているかも知れません。

23年6月には政策金利を引き下げる予想までしているということは、遅くとも来年6月までには景気の悪化が始まると言っているようです。

さいごに


ここまで株式市場は楽観的な一方、債券市場には悲観的な見方が広がっているという違いについて触れました。

7月上旬の現時点では2022年になってから珍しく、株価にとってよい知らせがいくつか見られるので、米国株のアナリストがまだ楽観視しているのは理解はできます。

米国株に見られる明るい兆し

  • 株価に悪影響を与える政策金利の引き上げは、(特に2023年は)思っていたより小さく済むかも知れない。
  • 原油などの商品価格が下がって、インフレが収まりつつある兆しが見られる。
  • (現時点ではまだ)今後の企業利益の見通しは悪くない。

ただ、冒頭にも書いた通り、大抵の場合には債券投資家の悲観的な予想があたっているので、一時的に株が好調になっても警戒をとかないほうがいいかなと思っています。

特に、今年は債券市場は急速に動く印象があります。

去年9月の時点では2022年の利上げは0.25%分の1回だけと予想していたのに、今では3.50%まで引き上がっていることを考えても、景気とインフレ次第で予想は急速に変化します。

7月から始まる決算シーズンではまだ業績は大きく崩れていないと思うのですが、やはりFRBの金融引き締め(量的引き締め)が強まる9月かその影響が出始める10月あたりに、株式市場の楽観が崩れないかを気にしています。


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