アップル、3月後半に売上急減速。4月後半には回復の兆しも【20年1-3月期決算】

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アップルの20年1-3月期の決算発表がありました。結果はアナリストが予想したほどには悪化しませんでした。売上・利益ともにほぼ前年並みの低成長に終わりましたが、アナリストの予想を超えています。

アップルは中国で新型コロナウイルスが流行した2月の時点で売上目標が達成困難な状況にあると警告をしていました。2月の段階では、新型コロナウイルスで中国の工場の多くが閉鎖されてiPhoneなどの製品が満足に作れない供給の問題を抱えていました。

この供給の問題は3月には解決したものの、3月後半からは世界的な新型コロナウイルスの流行で、今後は製品が売れない需要の問題に直面したと言います。

しかし、決算で発表されたのは悲観的な知らせばかりではありませんでした。4月の後半からは、世界的に幅広い製品で売上急減速からの回復の兆しが見えたようです。

この記事のポイント

  • アップルは2月に部品不足による売上減少を理由に業績見通しの未達を警告していたが、アナリストが想定ほどには業績は悪化しなかった。
  • 利益・収益は低成長に留まったものの、ともに事前のアナリスト予想を上回った。しかし、今後の見通しは依然として不透明で、来期のガイダンスを出せないと発表し、株価は売られた。
  • ティム・クックCEOによると、1-3月期のアップルは3つのフェーズがあったと説明。業績が好調だった最初の5週間、中国でのパンデミックで部品不足に陥って製品供給に影響が出た次の5週間、世界的なパンデミックで需要が減速した最後の3週間の3つ。
  • ただし、4月後半は幅広い製品・地域で売上が回復していることも明かした。世界的に広がる景気刺激策、リモートワーク・オンライン講義が増えて新製品を発表したiPadとMacの需要が増えたなど、さまざまな要因が重なって売上の急減速に歯止めがかかっていると言います。

2020年1-3月期結果


アップルの1-3月期はアナリスト予想こそ上回りましたが、利益・収益ともにかなり低成長に終わっています。

アップル2020年1-3月期決算

  • 一株利益:2.55ドルで、予想を0.29ドル上回った。(前年比+3.6%)
  • 収益:583.1億ドルで、予想を36.8億ドル上回った。(前年比+0.5%)

また、次期4-6月期の業績見通しの発表もありませんでした。今後の見通しは不透明で業績見通しが出せないとの説明を受けて、株価は決算発表後に売られています。

ただし、アップルとしては現状分析が出来ていなかったり、今後に業績回復の兆しも見えていないわけではありません。

むしろ、他の会社以上に詳細に新型コロナウイルスによる影響をティム・クックCEOが説明してくれていますので、その詳細を紹介したいと思います。

ティム・クックCEOが語る1-3月期の3つのフェーズ


今回の決算発表の電話会議で個人的に一番面白かったのは、ティム・クックCEOが語った1-3月期のアップルに何が起こっていたかの話かもしれません。

ティム・クックは、1-3月期には3つのフェーズがあったと言って、それぞれの時期にアップルに起こったことを話はじめました。

1-3月期のアップルの3つのフェーズ

  • 最初の5週間:中国で新型コロナウイルスが大流行する前までの時期。この時期のアップルの売上はかなり好調だった。
  • 次の5週間:新型コロナウイルスで中国の旧正月開けの工場再開が遅れたことで、状況が変わった。iPhoneなどの生産に支障が出る供給の問題が起き、中国での売上も急減。2月中旬に、1-3月期の業績見通し撤回する発表をした。しかし、この時期はまだ中国以外の売上は堅調だった。
  • 最後の3週間:新型コロナウイルスが世界中で流行し、3月13日には世界中のアップルストアを閉店した。中国の工場が再開でき供給側の問題は解消したが、今後は世界で製品が売れない需要の問題が発生して売上が急減速した。特にiPhoneとウェアラブル(イヤホンと時計)の減速は顕著だった。

このティム・クックの話を聴いた後にアップルの売上を見ると、理解がしやすくなります。以下は地域別のアップルの売上ですが、新型コロナウイルスの影響を早く受けた中国と日本の売上が特に悪化しています。

新型コロナウイルスが早い段階で流行した中国と日本で売上が低迷

単位:10億ドル 20Q2 19Q2 前期比
アメリカ 25.5 25.6 0%
ヨーロッパ 14.3 13.1 9%
中国 9.5 10.2 -7%
日本 5.2 5.5 -6%
その他アジア 3.9 3.6 7%
合計 58.3 58.0 1%

製品別売上


アップルの製品カテゴリ別の売上を見る前に、何の売上かわかりにくい用語の整理をしておきます。

アップルの売上構成を見る時にわかりにくいのは、「ウェアラブル&ホーム」と「サービス」です。それぞれの以下の製品・サービスが含まれます。

  • ウェアラブル&ホーム:AppleWatch(時計)、AirPods(ワイヤレスイヤホン)、HomePod(スピーカー)など
  • サービス:iCould(クラウドサービス)、AppleMusic(音楽)、AppleNews(雑誌)、AppleArcade(ゲーム)、AppleTV+(動画)、ApplePay(電子決済)、AppleCare(製品保証)など

以下が、1-3月期のアップルの製品別売上です。

単位:10億 20Q2 19Q2 前期比
iPhone 29.0 31.1 -7%
Mac 5.4 5.5 -3%
iPad 4.4 4.9 -10%
ウェアラブル 6.3 5.1 23%
サービス 13.3 11.5 17%
合計 58.3 58.0 1%

低迷したiPhone売上

売上規模で50%を占めるiPhoneの売上が前年比-7%と大きく減速しました。前回の10-12月期の決算では、新型iPhoneの売上が好調で2020年度のいいスタートを切ったはずでしたが、今期は急減速しています。

既に上のティム・クックCEOの話でも触れたように、1-3月の最初の5週間好調で、次の5週間で中国での売上が低迷しはじめ、最後の3週間で世界中のiPhone売上が急減速したようです。

同様の傾向は、二桁成長を維持したウェアラブルでも見られたようです。

成長を維持したサービス売上

今回の決算で、唯一好調を維持したのはサービス売上です。

ただし、内訳を確認するとサービスにも好調と不調なもので明暗が別れたと言います。

  • 好調:世界中でアプリの利用数が伸びたため、App Storeの売上が上昇。Apple Music、クラウドサービスも好調だった。
  • 不調:アップル製品の保証サービス「アップルケア」と広告売上が低迷。世界のアップルストアが閉店したことで、アップルケア加入数が減少。また経済活動が止まったことで広告収入も減った。

4-6月期もこの傾向は続くようです。

iPadとMacの売上減速スピードは落ちていない

MacとiPadはそれぞれ-3%と-10%で売上が前年比で減速していますが、この減速ペースは前期とほぼ同じです。

世界中のアップルストアが閉鎖した中でも、MacとiPadは在宅ワークやオンライン講義の需要があったために一定の売上を維持できたようです。

4月後半から売上が底打ちしつつあるアップル


3月後半に売上が急減速したアップルですが、ティム・クックCEOは4月に入ってからのアップルの業績についても、コメントをしていました。

4月のアップルの業績

  • 4月前半:3月後半に見られた鋭い売上減速が続いた。
  • 4月後半:幅広い製品と地域で、売上が回復しつつある。

ポイントは4月の後半に売上が回復し始めていることです。しかも、どの地域でも、どの製品でも同様の回復の兆しが見られるということです。

ティム・クックは売上回復要因の明言は避けましたが、各国の経済刺激策で効果が見られ、iPadやMacの新製品発表も好感されているかもれないと言います。

iPhoneやウェアラブルでは4-6月期の成長率が悪化するようですが、リモートワークとオンライン講義の需要に支えられるiPadとMacは新製品を投入したこともあって、成長率が改善する見込みがあるとアップルは見ているようです。

主力のiPhoneの成長率が落ち込むので4-6月期は楽観視しないほうが良さそうですが、回復の兆しが見え始めているのは良い兆候です。


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