少し前に、アップルの4-6月期の決算が発表されているので見ていきます。
事前のアナリスト予想は超えて株価は上がっていますが、私は今回のアップルの業績は悪かったと思います。中国でのロックダウンで供給と生産の問題を受けていることもあって、アップル製品の売上は全体的に低迷しています。
また地域別に見たときには中国のマイナス成長以上に、目立ったのは日本でした。
円高ドル安の影響をもろに食らったようで、7月1日から日本でアップル製品の急な値上げを発表した背景に4-6月の売上低迷があったことが伺えました。
この記事のポイント
- アップルは一株利益も売上もアナリスト予想を超えた。
- しかし、アップルの製品とサービスは全体的に成長率が大きく鈍化している。中国ロックダウンの影響とドル高の悪影響が出ている模様。
- 地域別では、日本の売上成長率がもっとも悪かった。急激な円高ドル安の影響で、売上前年比はマイナス16%と他の地域を引き離すマイナス成長だった。
成長率の鈍化が大きく見られたアップル
今回のアップルの決算ですが、一株利益も売上も予想を超えました。
- 一株利益:$1.20(予想$1.16)、前年比マイナス8%
- 売上:$83.0B(予想$82.8B)、前年比+2%
アナリストの予想を超えている点では良いのですが、四半期ごとに業績を追っていくと、成長率の鈍化がかなり進んでいることがわかります。
次のグラフは売上とその前年比の成長率をまとめたものですが、成長率は急低下しています。
営業利益は2020年以来のマイナス成長に突入しています。
営業利益がマイナス成長となると本業で成長できていない株になるので、あまり魅力がない株に見えてしまいます。
中国ロックダウンとドル円の影響を受けた業績
好調不調がどこにあるのかを内訳を見て確認しようと思ったのですが、大体どの製品も調子がよくありません。
Mac(パソコン)、iPad(タブレット)、ウェアラブル(時計、イヤホンなど)はどれもマイナス成長に落ち込んでしまいました。主力製品のiPhoneは前年比マイナス3%が予想されていた中で+3%で踏みとどまったので、アップルとしてはこの点は救いだったかも知れません。
唯一二桁成長をしているのはサービス売上です。ただ、去年に比べると成長率は大きく落ちています。
地域別売上
製品別の売上では、不調の要因があまりあぶり出されなかったんので、地域別の売上成長も見てみます。
単位:10億ドル | 22Q3 | 構成比 | 前期比 |
---|---|---|---|
アメリカ | $37.5B | 45% | 4% |
ヨーロッパ | $19.3B | 23% | 2% |
中国 | $14.6B | 18% | -1% |
日本 | $5.4B | 7% | -16% |
アジア太平洋 | $6.2B | 7% | 14% |
合計 | $83.0B | 100% | 2% |
これを見ると、中国と日本で売り上げがマイナス成長になっているようです。今回の原因は恐らくこのあたりに眠っているのではないかと思います。
つまり、(1)4-6月での中国ロックダウンと(2)急激なドル高です。
中国は4-5月は新型コロナウイルスの封じ込めのために一部の地域で外出禁止になるなど、景気はかなり悪かった影響を受けてマイナス1%の売上に低迷しています。
一方で、他の地域に比べて突出して業績が悪いのは日本です。
恐らく、日本の業績は世界でもっとも為替の影響を受けたのだと思われます。この1年間のドル円のグラフを下に表示していますが、2022年に入ってから急激に円安ドル高に振れています。
日本の景気が世界に比べて圧倒的に悪いというよりは、為替の影響をもっとも受けたと見るのが自然だと思います。
この4-6月の日本の売上の低迷を受けて、アップルはテコ入れを行ったようです。
先日、7月1日からアップルの製品の値上げが急に発表されましたが、4-6月期に為替の影響を受けてドルベースの売上が急減してしまったことの対応策を打ち出したのだろうと思います。
まとめ
さて、今回のアップルの決算ですが、アナリスト予想を超えたことと主力のiPhoneの売上が予想よりも良かったことは好印象でした。
一方で、成長率の鈍化、特に利益の鈍化スピードが個人的にはかなり気になる決算にもなりました。
今回の4-6月期の大手ハイテク企業の決算を見てみると、本当に低成長になったと実感しています。
この先、どこかで米国株に積極的に買いに動く時期が来たとして、その投資先はGAFAMにするのかを考えてしまうレベルで、今期は各社業績はパッとしなかったです。