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アクセンチュア、景気の最悪期でも予想超えの好決算【20年3-5月期決算】

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アクセンチュアは大手企業を顧客にして、ITをどのように活用してビジネスを変えていくかの計画を考え、実際にシステムの開発・運用までを手掛けるコンサルティング会社です。

企業の成長にはITの活用が必須と言われて久しいですが、通常の企業だけでは難しいIT活用を手助けすることで収入を得ている点で、時代の流れにあっている企業だと思い、購入を検討している銘柄でもあります。

新型コロナウイルスの影響で歴史的な景気の大幅悪化が心配される2020年3-5月期のアクセンチュアの決算は、収益も売上も悪化しましたが、悪い中でもアナリストの予想を超えるなど底力を見せました。

この記事のポイント

  • 売上・収益は前年よりも悪化したものの、アナリスト予想を上回る決算を発表し、市場は大きく株高で反応した。
  • 業界別の売上を見ると新型コロナウイルスの影響を受けた業界からの売り上げは低迷していた。
  • この企業の良し悪しを判断するのは、新規契約(New Booking)と言われる数字。これが安定しているので、今後のアクセンチュアの売上も大きく崩れる心配はなさそう。

アクセンチュアは2002年の上場以来、S&P500のリターンを大きく上回ってきた企業です。

前日、決算記事を書いたナイキの3-5月期は新型コロナウイルスの影響を受けて大きく沈みましたが、多業界で顧客を抱えるアクセンチュアはパンデミックの影響が分散されて、売上減少もいくらか軽減できたようです。

2020年3-5月期決算


2020年3-5月期のアクセンチュアの決算は、前年に比べると利益・株価ともにマイナスに転じました。

  • 一株利益:1.90ドルで、予想を0.06ドル上回る。
  • 収益:110億ドルで予想を1.1億ドル上回る(前年比マイナス0.9%)。
利益成長率がマイナスに転じたアクセンチュア
利益成長率がマイナスに転じたアクセンチュア

それでも、アナリストの事前予想は超える結果を残している点には底力を感じます。

この企業は過去2年間で8回の決算報告をしましたが、利益・収益をどちらかがアナリスト予想を下回ったことが1度しかありません。さすがはコンサルティング会社です。経営の安定感があり、長期投資に向いている銘柄だと思います。

製造・小売・エネルギー業界からの売上が低迷


業界別で売上を見てみると、やはり好不調がかなりはっきりと見て取れます。

製薬会社・医療機関・政府などを顧客にする「ヘルスケア・公共」の売上は堅調に伸びましたが、製造・小売・エネルギー業界の顧客からの売上は低迷したようです。

業界別売上 売上(10億ドル) 前年成長率
通信・メディア・ハイテク 2.2 0%
金融 2.1 0%
ヘルスケア・公共 2.0 12%
製造・小売 3.0 -1%
電力・石油・化学 1.6 -3%

株をやっている人なら、2020年はエネルギー業界・小売・製造が不調だと感覚でわかっている人も多いと思いますが、感覚通りの業界別売上になっています。

新規受注金額は引き続き安定


ここまでアクセンチュアの業績をみるために売上を見てきましたが、この企業の好不調を見分けるためには、NEW Booking(新規の契約金額)を見る必要があると思っています。

複数年にまたがる大規模なITシステムの仕事をする場合には、契約タイミングと売上が計上されるタイミングが異なることが多いです。

例えば全部で4億円の契約を2020年に結んだとしても、2020年から2023年まで毎年1億円ずつ売上を計上したりします。

2020年に世界中が大幅に景気低迷しているにもかかわらず、アクセンチュアの売上が比較的安定してみえるのは、景気が好調だった2019年以前に契約した売上が安定して計上されているかも知れません。

今期で新規契約がどれだけ取れているかも確認する必要があります。

アクセンチュアの新規契約金額は順調に成長

上記がアクセンチュアの新規契約金額ですが、四半期ごとにバラツキが大きいデータなので4四半期平均(上図の点線)を見てみると、特に今期で大きく下がった印象はありません。

この契約金額が安定しているうちは、アクセンチュアの今後の売上は大きく崩れることはなさそうです。

最後に


2020年3-5月期はアメリカは大規模な都市封鎖を実施していたので、大きな景気の減速が予想される時期でもあります。

アクセンチュアもその影響を受けるかと思われましたが、この困難な時期でも売上が前年比マイナス1%程度ですんだ安定性が評価され、決算発表後に歴代最高値を更新しました。

冒頭でもお話しましたが、アクセンチュアは長年S&P500のリターンを上回ってきた銘柄でもあります。

S&P500を長年上回るアクセンチュア

まだまだアメリカでは新型コロナウイルスが猛威を奮っているので、これからもう一度大きな景気の低迷期が訪れるかも知れませんが、次にもしも米国株が大きく下げることがあれば、この銘柄の購入も検討してみようかと考えています。


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