アメリカのGDPの7割は個人消費が占めているのは有名は話です。
この個人消費が順調かどうかは、失業率が低く抑えられているかが重要になってきます。なので、投資家は毎月の雇用統計をとても重要視してチェックしています。
アメリカの政府の雇用統計発表に先駆けて、民間企業のADP社が調査している2019年12月のADP雇用統計が発表されました。
結果は、とっても良かったです。予想を上回る結果で、より重要な政府発表の雇用統計に弾みがつく形になりました。
この記事のポイント
- ADP社がまとめた2019年12月のアメリカ雇用統計は、予想を上回る雇用者数増加を見せた。直近8ヶ月で最大の高い雇用者の伸びになった。
- ADP雇用統計よりも、重要視される数日後に発表される政府の雇用統計に向けてはずみがつく形になった。
- 製造業の景気が悪化する中でも、アメリカ経済全体として雇用がしっかりと増加していることが確認できた。アメリカ経済は減速しながらも、まだ力強いことが示された。
2019年12月ADP雇用統計は予想以上の結果
ADP社はアメリカ中の企業の給与計算などを代行している企業です。そのADPが独自に算出している12月分の雇用統計が発表されました。既に上にも書いたように、結果はかなり良かったです。
- 民間雇用者数の結果:予想の16.0万人増を大きく上回る、20.2万人増。
- 前回修正値:前回の結果の6.7万人増を、12.4万人に大きく上方修正。
グラフで見てみると、11月までは全体的に雇用増加が減少傾向にあったのですが、12月で盛り返した様子が見えてきます。
出典:『ADP National Employment Report: Private Sector Employment Increased by 202,000 Jobs in December』
また、注目なのは低調だった前回の結果に、大幅な上方修正がかかった点です。
前回は雇用者数の伸びがわずか6.7万人にとどまり、ADP社のプレスリリースには「アメリカの雇用の輝きが失われつつある」とまで書かれていましたが、速報の段階よりも実際はずっと結果が良かったことで一安心できそうです。
>>【2019年11月ADP雇用統計】輝きを失ないつつあるアメリカの雇用
ADP雇用統計よりも、より重要視される政府発表の雇用統計に向けてはずみが付く形になりました。
製造業の雇用の不振をサービス業が補う
私は2019年の時点からずっと、アメリカの製造業の景気の悪化から製造業で失業者が増加し、それが製造業以外にも広がることを懸念していました。
たしかに、業種別にみると製造業の雇用は減っているのですが、それを補ってあまりある形でサービス業の雇用が順調です。
部門 | 雇用者増加数 |
---|---|
鉱工業 | 2.9万人 |
– 鉱業 | -0.1万人 |
– 建築業 | 3.7万人 |
– 製造業 | -0.7万人 |
サービス業 | 17.3万人 |
2019年11-12月あたりからアメリカの景気後退を心配する声は一気にしぼんだ印象がありますが、ADPの雇用統計を見ても、製造業が不振でもサービス業がきちんとその不振をカバーしている様子が見えます。
少くとも景気後退に入りそうな気配はADP雇用統計からは感じない、そんな結果になりました。