アマゾン、4-6月期の利益を全てコロナ対策に使うと発表【20年1-3月期】

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1-3月期のアマゾンの決算発表がありました。

売上は大きく上昇しましたが、利益はアナリスト予想に届きませんでした。新型コロナウイルスの流行下で倉庫の従業員の安全を守りながらインターネット通販をビジネスを続けるには、結構なコストがかかるようです。

ただ、この決算発表で最も投資家に強い印象を与えたのは、次の4-6月期のコストについてかもしれません。

4-6月期にアマゾンは40億ドル前後の営業利益を見込んでいますが、その全てを新型コロナウイルス対策に使うと宣言しています。

従業員の安全は最優先事項で、フェイスマスクなどの身を守る備品、設備を消毒する費用、新規採用や賃金引き上げの費用に使うといいます。今の時期は仕方のない費用だとは思いますが、決算発表後の市場は利益が少なくなるアマゾン株を売るというわかりやすい動きで反応しています。

株価は決算発表後に一時マイナス5%まで下がっています。

この記事のポイント

  • アマゾンは収益が大幅に予想を上回った一方で、利益は大きく予想を下回った。従業員の新型コロナウイルス対策費用などで利益が圧迫された。
  • 4-6月期には40億ドルの営業利益を見込んでいるが、その全てを新型コロナウイルス対策費に費やすと発表。利益が減ることを嫌がった投資家は、アマゾン株を売る動きが出て、株価は決算発表後に5%ほど売られた。
  • ジェフ・ベゾスCEOは「アマゾンは大きなスケールで新型コロナウイルスの対策を考えている。Amazonの株主なら、(映画館のように途中退出することなく)着席して見届けて欲しい」とメッセージを送っている。

短期にアマゾン株を購入している投資家なら、4-6月の新型コロナウイルスの費用の発表を受けてこのタイミングで売るのでしょう。2020年1-4月でアマゾン株は絶好調だったので、ちょうどいい時期だと思います。

一方で長期的な投資家なら、新型コロナウイルスの流行で生まれたネット通販需要の拡大をきっかけに、アマゾンの売上と配送ネットワークがさらに強化されると信じて、保有を続けるのでしょう。

個人的には新型コロナウイルス対策費用に不満はないので保有を続けるつもりです。

2020年1-3月期結果

2020年1-3月決算

  • 一株利益:5.01ドルで、予想の1.10ドル下回る。
  • 収益:757億ドルで、予想を141億ドル上回る。(+前年比26.5%)
  • AWS収益:102億ドルで、前年比+33%
単位:10億ドル 1Q20 1Q19 前年比
収益 75.5 59.7 26%
営業利益 4.0 4.4 -10%
純利益 2.5 3.6 -29%
(調整後)一株利益 5.01 7.09 -29%

売上は大きく上昇していますが、やや問題があるのが利益が大きく減っていることです。

このどちらも新型コロナウイルスが影響しています。外出禁止中にインターネット通販の需要が拡大して売上が上昇していますが、従業員の安全と倉庫と配達の人員確保にコストがかかっているので、利益が圧迫されています。

部門別売上

  • オンラインストア:アマゾンのサイトでアマゾンが販売する商品の売上。
  • 実店舗:買収したホールフーズなど実店舗の売上。
  • マーケットプレイス:アマゾンのウェブサイトに出店している小売店からの売上。
  • サブスクリプション:Amazon Prime会員サービスや音楽配信サービスなどの定額制サービスの売上。
  • AWS:クラウドコンピューティングの収入。
  • その他:主にアマゾンのオンラインストアの広告収入。
部門別売上(10億ドル) 売上 前年同期比
オンラインストア 36.7 24%
実店舗 4.6 8%
マーケットプレイス 14.5 30%
サブスクリプション 5.6 28%
AWS 10.2 33%
その他(広告収入など) 3.9 44%
合計 75.5 21%

今回のアマゾンの決算は、外出自粛中のインターネット通販の需要の高まりを受けて、売上を伸ばしたようです。

アマゾンで約半分の売上規模を誇るオンラインストアの成長率は前期の15%から25%へと上昇したほか、前年比でプラスとマイナスを行き来していた実店舗売上も+8%と伸びています。

また、何かといつも注目を集めているクラウドコンピューティングサービスAWSの売上は前年比+33%成長で、通常通りの成長を見せました。

クラウドの新規顧客の獲得は減っているのかもしれませんが、一方で既存客がクラウド利用量を増やしていると見えて、業績は安定しています。

マイクロソフトでもクラウドコンピューティングAzureの売上は、特に新型コロナウイルスの影響を受けていないように見えていたので、同じ現状が起こってるようです。

4-6月期の営業利益を全てコロナ対策費用に


この決算の中でもっとも注目を集めたのは、1-3月期の業績結果ではなく4-6月期の利益の全てに相当する40億ドルを新型コロナ対策費用に費やすとアマゾンが宣言したことです。

アマゾンは今までに1億枚のフェイスマスクを調達したり、従業員の新規採用・給与引き上げなどを行ってきました。これらの費用は仕方ない出費だと思いますが、4-6月分の利益のほぼ全てを費用として使ってしまうのは、株価にとっては大きなダメージになります。

アマゾンの株は長期的に投資するつもりで保有しているので、今回の発表を受けて売るつもりは全然ありません。しかし、あくまでも私の直感なのですが、2018年頃に感じていたアマゾンの強さを最近感じないのは気になっています。

強さを感じないアマゾン

ネット通販といえばアマゾンのイメージが強いですが、アメリカでの生鮮食品のネット通販に限るなら、ウォルマートが攻勢をかけています。

またクラウドサービスでは、業界2位のマイクロソフトのほうが勢いがあります。動画配信サービスはネットフリックス・ディズニー・グーグル(YouTube)が話題の中心で、アマゾンの動画サービスが取り上げられる回数も減っています。

アマゾンが提供するサービスはどれも大規模で成功していると思いますが、売上規模の大きなオンラインストアのための配送拠点と人件費に出費がかさみ、将来的に成長性が高いクラウドサービス、動画サービスを提供するプライム会員売上の成長率が思ったよりも早く鈍化しているのが気になります。

3年後を期待して待つ

この決算で、ジェフ・ベゾスCEOは「アマゾンは大きなスケールで対策を考えている。あなたがAmazonの株主なら、(映画館のように途中退出することなく)着席して見届けて欲しい」とメッセージを送りました。

私はもともと頻繁に株の売り買いをするタイプの投資家ではありませんが、ベゾスCEOがそのように言うなら、今後は利益が減少するとわかっているアマゾンの株でも手放すことなく見届けようと思います。

かつてジェフ・ベゾスCEOは「現時点の会社の業績が良かったとしても、それは3年前から計画して決まっていたことだ」という発言をしています。ジェフ・ベゾスは2-3年先を考えて動く人のようです。

2020年の新型コロナウイルスでの多額の出費が、3年後の2023年のアマゾンをどのような姿にしてくれるのかを楽しみに待ちたいと思います。


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