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アメリカ消費者物価の今をおさらい

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今週はアメリカで消費者物価(インフレ率)が発表されます。

もちろん結果は見てみないとわかりませんが、インフレ率は小幅に上昇していると市場は見ているようです。

今週13日の発表を前に、アメリカの消費者物価の現状を振り返ります。

この記事のポイント

  • 消費者物価は2022年後半から原油価格につられて下落したが、最近はどちらも小反発している。
  • 消費者物価コアは鈍化が続いている。賃金上昇率の鈍化に加えて「住居費」の伸びが鈍化すれば、コア指数の伸びはまだ下がる。
  • 8月はエコノミストの予想がやや低インフレすぎるようにも見える。個人的には予想よりも強いインフレに警戒している。

消費者物価の流れのおさらい

前月までの結果で見えた消費者物価の流れをおさらいしておきます。

「消費者物価」と、エネルギーと食品の品目を除いた「コア」では少し傾向が異なり、次のようになっています。

  • 消費者物価:原油の価格が下がってインフレ鈍化が続いたが、最近は原油価格反発でインフレの伸びも小反発。
  • コア:賃金上昇率低下でインフレ鈍化が進む。「住居費」の鈍化が始まれば、さらにインフレ鈍化が進むか。

まず、消費者物価(コアではないほう、上図青線)は最近になって少し変化が見られたようです。アメリカの消費者物価は2022年後半から大きく伸びが下がりましたが、この数ヶ月は小幅に反発しています。

これはおそらく原油価格の上昇によるものです。

2022年6月から2023年3月までは原油価格が40%以上下落したことで消費者物価を引き下げる力が働きましたが、2023年3月以降は原油価格が反発しています。

この記事を書いている9月半ば時点でも原油価格の上昇は続いているので、今週発表される8月の消費者物価もおそらくインフレの伸びが加速していると思われます。

コア指数は引き続きインフレ鈍化傾向

一方で、コア指数(エネルギーと食品を除く物価、上図赤線)は引き続きインフレの鈍化が続いています。

こちらは賃金上昇率のゆるやかに鈍化し続けている影響が大きいと思われます。

加えて、もしも「住居費」の伸びが鈍化すれば、コア指数はさらに鈍化することが予想されます。

別の指標ではアメリカの家賃は大きく下がっているのですが、消費者物価の「住居費」はまだ本格的に鈍化していないため、これからの鈍化が期待されます。

よって、コア指数の伸びは鈍化傾向が続きそうな気配があります。

8月の消費者物価について

ここまでで7月のアメリカの消費者物価の動きとその背景を振り返りました。

今週13日に発表されるアメリカの消費者物価も、基本的には今の物価の流れが続くと思います。つまり、「消費者物価は原油につられて小反発」、「コア指数は引き続きインフレの伸び鈍化」という感じです。

エコノミストの予想でもだいだい同じような姿を予想しているようです。

  • 消費者物価(前年比):予想+3.6%(前回+3.2%)
  • コア指数(前年比):予想+4.3%(前回+4.7%)

これを見ると、コア指数はややハイペースなインフレ鈍化です。

個人的な印象では、エコノミストの予想よりもインフレが伸びて悪い結果が出る恐れはあるなと感じています。

また、内容については前述の通り、「住居費」の伸びが鈍化しているかを確認したいと思います。この項目の鈍化が進めば、コア指数を中心にまだまだインフレ低下は続くはずです。


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