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1月のアメリカ消費者物価の発表を控えて

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今週13日にはアメリカの1月の消費者物価の発表があります。

かつてほど注目されるようなイベントではなくなりましたが、低いインフレ率で推移しているかの確認はまだ変わらずに必要となりそうです。

この記事のポイント

  • 1月の消費者物価は前月よりも低い伸びが予想されている。
  • おそらくアメリカの物価の伸びが鈍化する傾向はまだ続いてる。1月のエコノミストの予想もかなり低い。
  • 気になる悪材料がないわけではない。紅海の物流の混乱はインフレ要因だが、どこまで影響が大きいかはまだ不明。

鈍化傾向が続いているアメリカ

13日火曜日にはアメリカの1月消費者物価の発表があります。

このインフレ率が高い伸びを示してしまうと、FRBは利下げに踏み切れなくなってしまいます。利下げが遅れることは株式市場や国債市場にとって悪い影響が出るので、きちんと今月も物価の伸びが低く抑えられている必要があります。

1月の消費者物価ですが、現時点では前回12月よりも低い伸びが予想されています。

  • 前月比:+0.1%(前回+0.2%)
  • コア前月比:+0.2%(前回+0.3%)

前月比でかなり低い伸びが予想されている分、ちょっとのことで予想より高いインフレの伸びになってしまうのは不安材料ではあります。

ただ、ここまでのアメリカは本当に順調にインフレ鈍化が進んでいます。

また、PCEデフレータというインフレ指標を使ってニューヨーク連銀が算出した基調トレンドでも下図のように順調に低下しているので、1月は前回からの流れを変えるような悪材料がなければインフレ鈍化が続くのだろうと思います。

消費者物価よりもリアルタイムにアメリカの物価の伸びを示してくれる民間のデータ(下図)では、次のようにすでに大きく物価の伸びが低下しているというデータもあります。

よって、アメリカの物価の伸びは1月も低いというのがメインシナリオになりそうです。

ちなみに

今のアメリカのインフレ率の低下は偶然なのか必然なのかわかりませんが、1970年代のアメリカと同じように推移しています(下図)。

こういう過去のパターンとの類似はいずれどこかで破られるのであまり参考にはなりませんが、もしもこの通り動くなら、2024年7月まではアメリカのインフレは低下することになります。

1970年代と類似している根拠がわからないと説得力がありませんが、同じ力が働いていたとしたら、もうあと何ヶ月かはインフレ低下に働くようです。

インフレの懸念点について

さきほど、「前回からの流れを変えるような悪材料がなければインフレ鈍化が続く」と言いましたが、悪材料がないわけではありません。

紅海での治安悪化を受けて、製造業もサービス業もコストの増加が懸念されています。

>>紅海の物流混乱、ロジスティクス大手による現場の見方(JETRO)

これがどれだけ物価に上昇圧力をかけるのかは、数字を見てみないとわかりません。先日、ISMから発表されたレポートではサービス業で仕入れ価格が上がっているという報告もありました。

基本的にはアメリカのインフレは低い伸びが続いてると思っていますが、思いの外インフレがくすぶっているとなると、FRBの利下げ時期の見通しが悪くなるので、まだ注意してインフレ指標を見る必要がありそうです。


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