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まもなく始まる4-6月期の決算を前に

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4-6月期の決算シーズンがまもなく始まりますが、発表される売上も利益もそれほど悪くないと思っています。

問題になるとしたら、7-9月期の業績見通しが低く発表されるかも知れないことです。今アナリストたちは今後1年の一株利益予想を高く設定しているところなので、少し冷や水を浴びせられる恐れはあります。

この記事のポイント

  • 4-6月期の米国企業の業績は恐らくそれほど悪くないはず。
  • 名目GDPは悪くないだけでなく、既に決算を発表している企業は多くずれしていない。
  • ただし、7-9月期の業績見通しの悪化などいくつか気をつけるべき点もある。

恐らく堅調な4-6月期の業績


今週からアメリカの企業の4-6月決算発表が少しずつ始まります。

>>米国株式決算カレンダー(マネックス証券)

最近ではアメリカの景気を危ぶむ声が聞かれますが、私は4-6月期の企業の売上と利益はそれほど大崩れしていないと思っています。

たしかに、4-6月期のGDPはインフレ調整後で(実質で)マイナス成長に落ち込む恐れがあることは知っています。

しかし、それはあくまでも「高いインフレの影響を除いた(実質)GDPの場合」の話です。インフレ込みでデータを見た場合では(名目では)GDPはまだ成長率は低くないはずです。

3ヶ月ほど前のデータにはなりますが、試しに2022年1-3月期(1Q)のGDPを下の図で見てみると、インフレの影響を除いた実質GDPはマイナス1.6%でも、この時の名目GDPはまだ6.7%とコロナ前を大きく超える成長を続けていました。

上の実質GDP成長率のグラフからもわかるように4-6月期のGDPは1-3月期と同じくらいの伸びが続いていることが予想されているので、4-6月期の名目GDPや物価の上昇分を含む各社の売上もそれほど悪くないはずです。

既に決算を発表している企業には好業績が多い

また、売上だけではなく、利益もそれほど悪化していないと思われます。

この記事を書いている時点で、S&P500採用企業の500社のうち18社が既に第2四半期の決算を発表していますが、その72%の企業がアナリスト予想を超える一株利益を発表しています。

アナリストの予想超えの割合の「72%」という数字は、1-3月期の同77%に比べればやや低いですが、過去10年の平均と同じくらいなので悪い数字ではありません。

落とし穴があるとしたら7-9月期の業績見通し


基本的には4-6月期の決算はそれほど問題なく通過すると思っているのですが、いくつか気になることもあるので、書いておきます。

  • 低い7-9月期の業績見通しが発表される恐れ。
  • 海外売上比率の高い企業が、ドル高の影響で利益が伸び悩む恐れ。
  • 非管理職の労働者の賃金が上昇している中で、そのような従業員を多く抱える企業の利益が伸び悩む。

上に気になることを3つ上げましたが、現実になると一番インパクトが大きいのは7-9月期の業績見通しの低迷です。

アナリスト予想を見ていると、最近は今後1年間の一株利益予想を引き上げている動きが見られます。

しかし、7-9月期の業績見通しが低調だと、せっかく上昇している利益予想が落ち込んでしまうことになります。

また、しばらく前にドル高を理由にマイクロソフトが利益見通しを引き下げる動きがありましたが、海外売上比率の高いIT企業はドル高の悪影響が利益に現れるかも知れないので注意が必要です。

最後に気をつけたいのは、賃金上昇による利益の圧迫です。最近は非管理職ほど賃金が上昇している傾向があるので、例えばアマゾンやウォルマートなどのように非管理職の従業員を多く抱える企業は、思いのほか利益が伸びていない恐れはあります。


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