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予想外の健闘を見せたビヨンドミート。売上+141%で高成長を維持。

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牛や豚などの畜産に頼らず、植物由来の成分だけで味も風味も本物の肉のように作る「代替肉(人工肉)」を提供しているビヨンドミートが決算を発表しました。

結果は良かったです。ビヨンドミートはファストフード店などに代替肉を提供するレストラン向け販売が急成長していた企業なので、新型コロナウイルスでレストランの閉店や営業縮小が続いている中、苦戦するだろうと思っていました。

たしかにレストラン向け販売の業績はやや勢いにかけましたが、スーパーなどへの小売向け販売が急成長したおかげで、予想したほど業績が悪化しませんでした。

この記事のポイント

  • ビヨンドミートの決算は収益も利益もアナリスト予想を上回った。上場以来すべての決算で利益・収益ともにアナリスト予想を超えている。
  • 売上成長率は前年比+141%と依然として、驚異的な成長を継続している。
  • 前期まで好調だったレストラン向け販売は3月後半に失速したが、小売向け販売が好調で新型コロナウイルスのダメージを和らげることが出来た。
  • ただしウイルスの影響がいつまで続くか見通せないため業績見通しは撤回され、短期的にはウイルスによってマイナスの影響を受けるとの発言にとどまった。

2020年1-3月期結果

2020年1-3月期結果

  • 一株利益:0.03ドルで、アナリストの事前予想を0.09ドル上回る。
  • 収益:9707万ドルで、予想を997万ドル上回る。(前年比+141%)
単位100万ドル 1Q20 1Q19
収益 97.1 40.2
営業利益 1.8 -5.3
営業利益率 2% -13%
純利益 1.8 -6.6
純利益率 2% -17%

5期連続でアナリスト予想を超える好決算です。上場してから未だに収益も利益も一度もアナリスト予想を下回っていないのは、力強さを感じます。

決算期 一株利益 収益
20Q1 $0.06
(予想超え)
$97.07M
(予想超え)
19Q4 $0.01
(予想超え)
$98.48M
(予想超え)
19Q3 $0.06
(予想超え)
$91.96M
(予想超え)
19Q2 $0.08
(予想超え)
$67.25M
(予想超え)
19Q1 $-0.13
(予想超え)
$40.21M
(予想超え)

好調を維持する売上成長

この会社の最大の魅力は売上成長率が非常に高いことなのですが、今期も収益は前年比+141%と好調をキープしました。

さすがに新型コロナウイルスの影響もあって成長率はやや鈍化しましたが、それでも他の企業に比べると十分すぎるほど高い成長率です。

今回のビヨンドミートの決算を支えたのは、小売向け販売の成長です。

ビヨンドミートにはレストラン向け販売と、スーパーなどで販売する小売向け販売の2つの販売経路があります。

新型コロナウイルスが流行して多くの世界中のレストランの営業が制限されたため、レストランへの売上は成長率が鈍化しました。しかし、その分小売店が力強く成長を遂げています。

今後も都市封鎖が解除後されてもレストラン業界の売上は、回復までに時間がかかると見られています。しかし、「ビヨンドミートのレストランへの売上も成長が鈍化するのでは」と思われていた中で、小売店販売が安定して成長しているのはかなり良い兆候です。

小売店での販売が好調

売上(100万ドル) 米国 海外 合計
小売店販売 49.9
(+157%)
5.9
(+4944%)
55.9
(+185%)
レストラン提供 22.6
(+156%)
18.6
(+57%)
41.2
(+100%)
合計 72.5
(+156%)
24.5
(+106%)
97.1
(+141%)

新型コロナウイルスの影響について


今期の決算発表では、新型コロナウイルスの影響についてのコメントが随所に見られたので、以下にまとめておきます。

決算で明らかになった新型コロナウイルスの影響

  • 2020年は非常に力強い売上で膜を開けたが、3月の後半にレストラン向け販売が失速した。この失速は、新型コロナウイルス対策で世界の国が外出禁止令を出したことに強く影響を受けている。
  • 一方で、同じ時期の小売販売(スーパーでの販売)は力強い成長を見せ始めた。米国では、3月22日までの4週間でビヨンドミートの小売販売は+233%で成長した。業界の同売上が+93%で成長したことに比べても、ビヨンドミートは特別強かった。
  • 小売販売が好調でもレストラン販売で突然消えた需要を補いきれなかったが、2つの販売経路を持っていることは、パンデミックのダメージを和らげるのに役立つことがわかった。
  • 今後はレストラン向け製品の製造ラインの一部を小売販売向けに変える、試し買いをしたいスーパーの顧客に向けにかなり積極的に値下げ足した商品の提供を始めるなどの対応を図る。
  • 新型コロナウイルスがいつ収まるか予測できないため、今後の業績見通しは出せない。短期的にはマイナスの影響が続くと思われる。

既に前の章の売上の数字からも見えていましたが、やはりレストラン販売の低迷を、小売販売の成長でいくらかカバーしたようです。

新型コロナウイルスの影響がいつまで続くかの予測が困難ですが、当面はレストラン向け販売よりも小売販売のほうが成長するとみて、小売向け製品の生産を強化したり、売りやすい価格の商品を開発したりと、好調な小売店重視の戦い方をするようです。

株主が心配しそうなのは「かなり積極的に値下げした商品の提供」で利益が圧迫されることです。

ただし、ビヨンドミートは業界の中でも売上がトップクラスの製品がいくつかあり、人気と実力のあるブランドになりつつあるので、価格を下げて他の企業に攻勢をかけていくつもりなのかもしれません。

そのつもりなら、今は市場シェアをとり、勢力図が固まったあとで利益を出す作戦なのでしょう。

最後に


前回の決算まではレストランへの提供が急成長していたので、新型コロナウイルスでレストランへの売上が落ちるとさすがのビヨンドミートも、苦しい決算になるかと思いましたが、小売店売上がレストラン向け販売の穴をいくらか埋めたため、予想を超える決算を出してきました。

私は代替肉にとても注目をしていて、1年以上前から何かしらの投資をしたいと考えていたのですが、競争が激化する業界でどこが生き残るのか、利益を生み出し続けることができるのかが見えず投資に踏み切れていませんでした。

しかし1-3月期は、業界でトップクラスの売上を誇る製品がビヨンドミートから出てきたり、業界全体よりも高い売上成長率を誇ったりと、懸念材料を払拭する話がいくつか見られました。

ビヨンドミート、面白いかもしれません。この企業への投資を以前よりも前向きに考えてみたいと思います。


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