私はアメリカのインフレがこれから鈍化に向かっていくと思っています。
しかし、インフレ再燃の警戒もしなければなりません。その火種になるかもしれないと、数ヶ月前から警戒しているのが住宅価格市場です。
2023年になってからアメリカの住宅価格は価格を回復させているのですが、先週発表されたデータでもやはり住宅価格の上昇が続いていることが確認されました。
この記事のポイント
- 2023年2月からアメリカの住宅価格の上昇が続いている。
- 今すぐではないが、住宅価格の上昇が続くなら2024年以降のアメリカインフレ再燃も懸念される。
上昇が続く2023年のアメリカ住宅価格
アメリカの住宅価格の動きを示すケースシラー住宅価格指数の5月のデータが発表されました。
- 予想:-1.80%
- 結果:-1.70%
このデータで気になっているのは予想を超えたとか、超えなかったという話ではありません。
単純にアメリカの住宅価格が2023年になってから上昇していることです。
次のグラフはケースシラー20都市住宅価格指数の値動きを示したものです。2023年から価格上昇が見られ、5月もその流れが続いていることがわかります。
つまり、金融引き締めは続いていますが、アメリカの住宅価格は2022年の低下から回復しているようです。ケースシラー住宅価格指数の発表元も、今後もこのような動きが続くと予想しています。
たしかに、(2023年2月からの)直近4ヶ月の住宅価格の上昇分は、住宅ローン金利が上昇したり経済全体が弱まれば失われる恐れはある。しかし、5月のケースシラー住宅価格指数の広域での力強さは、今後数ヶ月を楽観視する見方と一致している。
インフレは再燃するのか
住宅価格が上昇し続けるなら少し困ったことになります。インフレ再燃を警戒する必要があるからです。
ケースシラー20都市住宅価格指数は5月に前月から+12%超えのペースで上昇しているので、このペースが続くと2024年のどこかでアメリカのインフレ率が上昇する恐れもあります。
なお、去年までの住宅価格低下の影響が遅れてやってくるおかげで、アメリカのインフレ率は2023年内までは下がるとは思います。ですが、2024年頃に住宅価格上昇によりインフレが再燃するかが心配です。
問題は2023年のアメリカの住宅価格の上昇が一時的なもので終わるのか、これからも続くのかです。
警戒を怠ってはいけませんが、私は2023年の住宅価格の伸びを一時的なものかもしれない可能性を追っています。
最近の住宅価格の上昇は、経済に強気な要因があって上昇しているわけではないと思いからです。
2022年から住宅価格は急落したことで、最近では中古住宅を売ろうと考える人が減り、供給が少なくなっていることが住宅価格上昇の背景にあります。
次のグラフは中古住宅の販売件数ですが、最近では新型コロナ流行初期の2020年春と同じ程度にまで下がっています。
この販売件数が本格的に上昇に転じて、さらに住宅価格も上昇ペースも下がらないなら、いよいよ人々は住宅価格に強気になったと判断できるかもしれませんが、まだそこまでは至っていないです。
というわけで、今後の住宅価格には極めて警戒が必要ですが、まだアメリカのインフレ再燃は決まったストーリーではないと思っています。