2023年の途中からアメリカの住宅価格が再び上昇しています。この上昇が落ち着いてくれるのかが気になるところです。
ケースシラー住宅価格指数の9月分が発表されたのでここで見ていきますが、まだまだ住宅価格の高い伸びが続いているものの、一時期よりは鈍化し始めている傾向があるように見えます。
この記事のポイント
- ケースシラー住宅価格指数は予想を下回り、前月比の伸びが前回よりも下がった。
- まだまだ高い住宅価格の伸びが続いているが、2023年下半期に価格の伸びが鈍化している傾向が見られる。
- ケースシラーよりも発表が早いZillowを見ると10月も住宅価格の伸びが鈍化している傾向が見られる。価格の伸びは収まってきた模様。
9月のケースシラー住宅価格指数
アメリカの住宅価格の動きを示す経済指標の一つに、ケースシラー住宅価格指数があります。
昨晩発表された9月分のデータは予想よりも少し控えな価格の伸びだったようで、少し一安心できるものでした。
- 予想:前年比+4.1%
- 結果:前年比+3.9%
上のグラフを見るとわかるように、2023年のアメリカの住宅価格は厳しい金融引き締めにも関わらず再び上昇を始めていました。
しかも、最近では毎月のように前年比の伸びが大きくなってきており、これがどこまでも伸びてしまうと再びインフレを心配しなくてはならなくなります。
(※価格上昇の原因は住宅ローン金利が上昇して家を買い替える人が減り、中古住宅市場に出回る家の数(供給)が極端に少なくなったためと思われます)
どこまで伸びるのかを確認するために前月比(年率)で見てみると、9月の住宅価格は年率+8.3%ペースで伸びているようです。
住宅価格が1年で+8.3%の伸びてしまうようだとインフレのリスクが高いのですが、それでも上のグラフを見てみるとこの数ヶ月で伸びはわずかに鈍化しているのは良いことです。
残念ながらまだ高い伸びが続くでしょうが、毎月の伸びがゆっくりとでも低下してくれるなら、いずれ住宅価格の伸びは収まるという希望が持てます。
10月も住宅価格の伸びはさらに鈍化か
さて、ケースシラー住宅価格指数を見る時に多くの投資家が気になっているだろうことは、データ発表の遅さです。
今月であれば「いまさら9月のデータが発表されるのか」と思った人は多いことでしょう。
そこで、Zillowというもう少しだけ早く発表されるデータも確認しながら、アメリカの住宅価格の10月の様子も覗き見してみましょう。
Zillow住宅価格指数も2023年6月から最新版のデータである10月にかけて、住宅価格の伸びが鈍化している傾向が見られます。
この通りになるなら、恐らくまだ9月分までしか発表がされていないケースシラー住宅価格指数の10月版も伸びが鈍化していると思われます。
2023年の途中から「いったい今の住宅価格の伸びはどこまで上がるんだろう」と心配していましたが、ようやく伸びが一段落したのかもしれません。
住宅価格の伸びによって、アメリカ経済全体のインフレ沈静化までの道のりが長くなってしまったことは残念ですが、2023年の住宅価格の伸びに限界が見え始めたのは良い兆候です。