中国企業の株への投資は、中国政府に規制をかけられるという予測が難しいリスクを負っています。
たとえば、つい先日もディディ(滴滴)というタクシー配車アプリを手掛ける中国企業は、米国に上場して株が一般の投資家でも買えるようになってから、わずか4日で中国政府からアプリの新規ダウンロードを禁じられるようなことがありました。
中国のネット規制当局、滴滴を除外するようアプリストアに命じる(ブルームバーグ)
売上につながる政府からの規制を投資家が嫌がっていることも影響しているのか、中国株には成長率が高いのに安く見える株が数多く見られます。
この記事では、成長率が高い中国の有名企業なのに、最近株価を下げている銘柄をいくつか見ていきます。
この記事のポイント
- 割高な米国株に見慣れていると、中国株は高い成長率のわりに、あまり買われていない銘柄が目立つ。
- 日本でもある程度名が知られているアリババ(BABA)、JDドットコム(JD)、バイドゥ(BIDU)、ピンデュオデュオ(PDD)は今後も高い成長率が予想されている、最高値から数十%売られていて、米国株にはない割安さがあるようにも見える。
株価がさえない2021年の中国企業
2021年7月現在、日本の投資家にも知名度が高い中国企業が安くなっているのが目立ちます。
2021年に株価の下落が見られる主な中国株
- アリババ(BABA):ネットショップ大手。クラウドコンピュータや決済アプリも提供し、自動運転にも投資。52週最高値から下落率32%。
- JDドットコム(JD):ネットショップ大手。52週最高値から下落率30%。
- バイドゥ(BIDU):検索エンジンで中国シェアNo1の企業で、自動運転にも投資。52週最高値から下落率45%。
- ピンデュオデュオ(PDD):通常よりも安く買えるユーザの共同購入に特徴があるネットショップ大手。52週最高値から下落率44%。
このサイトを見てくれる人は米国株の投資家が多いので、米国に上場して米国株と同じように買える企業で30%以上最高値から下落している株をあげましたが、次々と簡単に見つかります。
米国に上場する中国企業の時価総額の上位5社のうち、電気自動車を製造するNIO以外の4社全ては、この記事を書いている時点で最高値から30%以上も株価が下落しています。
30%下落している株を見て、考えること
株式投資家にとって30%以上の下落は、たいていの場合はチャンスです。
あくまでも一般的な話ですが、もしも30%下落している株が元の価格に戻れば株価は40%上昇します。下落率が40%の場合なら、もとに戻った時には66%も株価が上昇できることになります。
期待できるリターンの大きさとしては十分です。
となれば、投資を検討する際に考えるのは、これらの企業が元の最高値を超える可能性があるかどうかです。
私は中国株にはそこまで詳しくありませんが、あくまでも数字を見た限りでは、上にあげたどの企業もまだまだ今後数年も成長すると予想されていて、株価が2021年前半で株価がピークをつけるような企業には見えません。
たとえば、近年はティックトック(TikTok)などのアプリに押されて広告収入の伸びを心配する声が上がるバイドゥでも、今後数年の利益は20%超えで成長すると見られています。
他の企業も同様に今後数年で利益を増やす傾向があり、いずれ最高値を更新する可能性はかなり高いように思えます。
最後に
この記事では、最近株価が低迷している中国株について書きました。
記事の中では、米国株投資家が投資しやすい米国上場の企業について触れましたが、香港上場の中国企業についても同じように株価が低迷している企業を簡単に見つけることできます。
冒頭に話をした政府の規制など、米国企業よりもリスクが高い投資になることはたしかです。しかし、米国株が割高なものが多い以上、候補の1つとして安くなった中国株を選択肢に入れる価値はある気がしています。