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アメリカ消費者の景気はまだ強いが、水面下で変化は起こっている。

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このブログでは、もう1年近くアメリカのリセッションを警戒する記事を書いています。

しかし、今回のアメリカは雇用と消費が強いために、リセッションは近づいているものの訪れてはいません。

消費者へのアンケートを見てみると、お金まわりで健全な生活が送れている人もまだ多く、今後のリセッションを予想する人の確率も6月に下がっているようです。

ただ、消費者を支えている雇用に目を移すと、わずかなほころびも見えます。

この記事のポイント

  • カンファレンスボードによる消費者信頼感指数は2023年になってから改善が続いている。
  • 消費が弱っている様子やリセッションが近づいている様子は信頼感指数からはほとんど見られなかった。
  • ただ、消費者を支えてる雇用のデータを見てみると、わずかに雇用が弱まっている兆候は見られる。

消費者の景況感は改善している

カンファレンスボードはこのブログでよく取り上げている景気先行指標外にも、消費者が感じている景気の強さ(消費者信頼感指数)を発表しています。

このカンファレンスボードは、景気先行指標の発表時のコメントでは2023年後半にアメリカはリセッションになると予想しているのですが、一方で消費者信頼感指数を見てみると最近は景況感が改善している様子が見えてきます。

まず、最近のデータを見てみると6月の消費者信頼感指数は予想を上回っています。

  • 予想:103.8
  • 結果:109.7
  • 前回:102.3から102.5へ上方修正

また、次のグラフを見てみると、消費者信頼感指数は2023年になってから改善を続けているように見えます。

つまり、景気先行指標がずいぶん前から指し示している苦境が、アメリカの消費者には訪れていないようです。

6月にやや強気に転じた消費者

また、「今後12ヶ月のうちにアメリカはリセッションになるか」との問いかけに対して、Yesと回答する消費者の割合が直近では大きく減っているようです(下図)。

家計が苦しいと答えている世帯の割合も減っており(下図)、このデータを見る限りはアメリカのリセッション入りはまだかなりの時間がかかりそうに見えます。

水面下で起こっていること

消費者信頼感指数の改善傾向を見ていて、「アメリカのリセッション入りには時間がかかるというよりも、アメリカのリセッション確率は下がっているのでは?」と考える人もいるかも知れません。

ただ、他のデータもあわせて見ると、アメリカがリセッションに向かっていると私は思っています。

アメリカの消費者の景気が改善しているのは雇用が強いからですが、その雇用には陰りが見られるからです。

次のグラフは過去1年間の新規失業保険申請件数ですが、増加傾向に転じています。

それでも、まだ求人件数が多いので、家計が傷つく前に仕事をたやすく見つけることができているのですが、一時期かなり多かったアメリカの求人件数は少しずつ減っています。

つまり、まだ消費者の景気は強いのですが、水面下では変化が起こっていることがわかります。

なので、やはりアメリカはリセッションに向かっているという認識を持っています。問題は、リセッションまでがまだかなり長そうだということです。


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