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【2019年12月ドイツ・ヨーロッパPMI】最悪期は抜けてもまだまだ弱い欧州景気

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このブログではヨーロッパやドイツの景気をよく話題にしています。

その理由は、ヨーロッパの景気が悪化すれば、グローバル展開する米国企業にも影響が及ぶかも知れないと思っているからです。

世界の中の大きな経済圏は米国、中国、ヨーロッパ、日本です。

知ってのとおり、中国は景気が減速していて、日本の景気は相変わらずドンヨリしています。この状況でヨーロッパも崩れたら、アメリカ国内の景気が順調とは言え、さすがに米国企業もつらかろうと考えています。

なので、ヨーロッパの景気が持ちこたえられるか、景気後退に向かうか注目しています。

さて、ヨーロッパの企業の役員に「御社の景気いかがですか?」と毎月アンケートをして集計したPMIという経済指標があります。12月のヨーロッパPMIが発表されたので、何がわかるかを確認していきます。

この記事のポイント

  • 12月の欧州企業が感じている景気(PMI)は予想を下回る低調だった。
  • PMIの推移を見ると、2019年9月がヨーロッパ景気の底だった。でも、景気の底からはほとんど回復せず、横ばいの状態が続く。
  • しかし、投資家は今後6ヶ月のヨーロッパの景気にかなり強気に見ている。投資家と企業の景気期待には差がある。

ヨーロッパ製造業PMI(2019年12月)

企業が感じている景気(PMI)は50を超えれば景気が上向き、50を下回れば景気が下向きになっていることを意味します。

まず、製造業の12月PMIは前月よりも悪化し、予想を下回る結果になりました。

  • ドイツ製造業PMI:44.6の予想を下回る43.4(前月44.1も下回る)
  • ヨーロッパ製造業PMI:46.9の予想を下回る45.9(前月46.9も下回る)

製造業PMIの推移をグラフでみると、2019年9月10月の景気の底からはもわずかに改善しているものの、依然として景気悪化を示すボーダーラインの50を大きく下回っています。

まだまだヨーロッパの製造業は低迷していると言えそうです。

ヨーロッパ非製造業PMI(2019年12月)

一方で、非製造業は製造業に比べるとやや明るい材料が見られます。ドイツ・ヨーロッパともに、前月を上回る予想以上の結果でした。

  • ドイツ非製造業PMI:予想52.0に一致する52.0(前月51.7も上回る)
  • ヨーロッパ非製造業PMI:予想52.0を上回る52.4(前月51.9も上回る)

グラフを見ると2019年9月の段階で景気の底を打ったようですが、それ以来とても小さな回復を続けている様子が見えます。

製造業の不振が、非製造業に移らないかが心配のタネの一つでしたが、今のところ持ちこたえているようです。問題があるとすれば、景気の底からの回復がとても弱いことです。

回復というより、横ばいと言ったほうがしっくり来るくらいです。

投資家と企業で異なる景況感

実は、このPMIが発表される前、機関投資家や証券アナリストなどの投資のプロが感じているヨーロッパの景気はかなり上向いていました。

今後6ヶ月のヨーロッパの景気を表すZEW景況指数はかなり改善していました。

>>【2019年12月ZEW景況指数】ドイツ・ヨーロッパの景気、投資のプロたちは楽観視。

こちらがZEW景況指数のグラフですが、2019年8月以降に投資家はかなりヨーロッパの景気を強気に見ていることが分かります。

ZEW景況指数は今後6ヶ月の景気を見るものなので、企業が感じている景気(PMI)が後から遅れて上昇すれば問題はありません。ただし、私は多くの投資家ほどまだヨーロッパの景気には楽観的になれていません。

理由は2つです。

  • ヨーロッパで金融政策をやっても効果が見えなくなってきていること。(9月の金利引下げ、11月の量的緩和の効果が見えない)
  • ドイツは2019年第3四半期の景気後退を回避して、政府が景気刺激策を打ち出すムードがなくなったこと。

金融政策が効果が薄くなり、政府も手をかさないとなると、企業が自分たちの努力で景気を回復させる必要があります。

でも、直近の企業の役員が感じている景気(PMI)を見る限り、まだそこまで企業に力強さは戻っていないと思っています。


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