コンテンツへスキップ

フェイスブック、成長率鈍化でも予想超えの好決算【20年4-6月決算】

  • by

少し前にフェイスブックの決算が発表されたので、振り返っておきたいと思います。

4-6月期は収益も利益の成長率は前年に比べて大きく悪化しましたが、予想を上回る内容でした。新型コロナウイルスの影響で多くの企業が広告費を減らすと悲観的な予想が広がっていましたが、予想ほど悪くなかったようです。

新型コロナウイルスの感染拡大防止で自宅待機の指示が出されている期間、世界中の個人や企業は積極的にフェイスブック社のアプリを使ったようで、利用者も予想を超えて伸びています。

この記事のポイント

  • フェイスブックの4-6月決算は、収益・利益ともに予想を超えた。その他、ユーザ数やユーザ単価などの主要データも全て予想を超えた。
  • その他の多くの企業と同じように4月が業績の最悪期で、5月と6月は回復の兆しを見せたと発表。来期も4-6月期と同程度の収益の成長になる見通し。
  • 多くの大手企業がヘイトスピーチ対策が不十分なことを理由にフェイスブックへの広告出稿を取り下げた影響は、次回の決算で影響を受ける。

フェイスブック株に関しては、2020年8月時点で高くもなく安くもなく、ほとんど適正価格で落ち着いていると思います。

デジタル広告業界で圧倒的な存在感がある企業なのですが、プライバシーやヘイトスピーチへの対応で近年は利益が圧迫されて投資家が敬遠しているだけでなく、世の中の人々の支持があまりない企業にも見えます。

そのためアップルのように人気が過熱して株価が急上昇するタイプの銘柄ではありませんが、保有して数年後たってから、気づいたらそこそこなリターンが出るタイプの株になっていると思います。

2020年4-6月期決算


4-6月のフェイスブックは、予想よりもずっと良かったです。

確かに新型コロナウイルスの影響で企業がフェイスブックへの広告を減らしたため、前年からの成長率は収益・利益ともに落ち込みましたが、予想を大きく上回る決算でした。

  • 一株利益:1.80ドルで、予想を0.40ドル上回る。
  • 収益:186.9億ドルで、予想を13.3億ドル上回る(前年比+10.7%)。
  • デイリーアクティブ・ユーザ:17.9億人(予想は17.5億人)
  • マンスリーアクティブ・ユーザ:27.0億人(予想は26.3億人)
  • ユーザ単価:$7.05(予想は$6.76)

上のどの項目をみても、事前の予想を上回る結果を出しています。

単位:10億ドル 2Q20 前年比
収益 $18.7B +11%
営業収益 +6.0B +29%
純利益 $5.2B +98%
一株利益 $1.8 +98%

4月に底を打ったフェイスブックの業績

収益成長率のグラフの変化を見ると、さすがに成長率は低下しています。

ただし、フェイスブックも他の企業と同じように2020年4月に業績を底を打って、5-6月には業績が回復したと言います。

決算発表時のコメント

  • 4月の最初の数週間で、売上成長率はゼロ付近にまで落ち込みを見せた後、かなりの回復が5月と6月で見られた。結果的に広告収入は前年比+10%増で終えることができた。
  • 7月の最初の3週間の広告収入の伸び率は、4-6月期とほぼ同じだった。7-9月期の成長も、ほぼ変わらずに推移すると予想している。
  • 新型コロナウイルスの外出規制は世界中で緩和されるため、フェイスブックを毎日・毎月使う人の数は4-6月と比較して7-9月は横ばいか減少すると予想。

大手企業の広告出稿停止の影響

「4月から5-6月は業績が回復傾向にあったのに、なんで7-9期の業績は回復傾向が止まって4-6月と同じペースでしか成長しないの?」と思われるかも知れません。

この原因についてはいくつか説明がありましたが、比較的インパクトが大きいのは大手企業が一時的にフェイスブック広告から手を引いていることです。

2020年7月以降に大手企業が、相次いでフェイスブックのヘイトスピーチ対策が不十分なことを理由に、広告出稿取り下げると宣言しています。

スターバックス、コカ・コーラ、ユニリーバなどの大手企業が当面フェイスブックへの広告を取り下げることを決めたようで、以下のForbesの記事を見る限り、これらの大手企業の広告出稿停止の影響は売上の5%程度だろうと見られています。

関連記事:広告ボイコット500社超のフェイスブック、それでも「余裕」の理由は(forbes)

なので、本来ならもう少し7-9月の業績は前年比で回復するはずだったのですが、大手企業の広告停止で成長が押し下げられて、4-6月と同程度の成長率になるようです。

ともあれ、フェイスブックも無事に今期で業績が底を打ったのは、良いニュースでした。広告業界は景気に連動して収益が変化するので、これからは経済がどれだけ早く回復するかも、フェイスブックの業績にとって重要な要素になりそうです。


本ブログからのお願い

この記事は、読者が自由に記事の金額が決められるPay What You Want方式をとっています。

「役にたった」「面白かった」など、何かしら価値を感じた場合は、YUTA'S INVESTMENT TICKETをクリックして、価値に見合った金額をお支払い下さい。

価値がないと思った場合には、お支払いは不要です。同じ記事を読み返して、新しい気づきがあった場合には、1人で何回クリックしても問題ありません。


タグ: