私の中では今の米国株は「景気回復で株価が上向く力」と「景気回復期待の高まりによる金利上昇の悪影響で株価が下がる力」の両方が働いていると考えています。
そして、直近1週間はそのどちらの力も強く働いた週になりました。
業界や個別の銘柄によって「景気回復の好影響」と「金利上昇の悪影響」のどちらの力が強く受けるのかは今までに何回か記事してきましたが、一部の銘柄では1週間の前半までは金利上昇で株価を下げていたのに、割高感が薄れた後は金利が上昇しても下げなかったり、上昇すら始めるものものもあり、大変興味深かったです。
この記事のポイント
- 景気回復期待が高まった1週間だった。今後景気が良くなれば業績回復が望める石油株・工業株・金融株は株価が上昇した。
- 同時に、金利が上昇した1週間でもあった。割高な銘柄ほど影響を受けるので、ハイテク銘柄が大きく売られた。
- 特に興味深かったのは、週前半に金利の悪影響で大きく下落した銘柄でも、割高感が薄れた週後半から景気回復の影響に反応して株高になったものがあった。
- 今の米国株は全体的にやや低調だが、調整が続いた後は、景気回復で株高になる環境(業績相場)に移行するのかも知れない。
景気回復期待も高まり、金利も上昇した1週間
この1週間は今後の景気回復の期待が高まった1週間でした。
特に1週間の後半で発表された雇用統計を見ると、想像以上に2月の雇用者が大きく伸びていました。2月のアメリカはコロナの感染拡大スピードが大きく減速した影響が、大きかったのかレストランなどの雇用の増加数が大きかったようです。
景気が良くなれば金利は上昇していくので、この1週間も先週と同じようにアメリカの長期金利も順調に伸びていきました。
業界や銘柄によって異なる金利の影響
今の株価が「景気回復で株価が上向く力」と「金利上昇の悪影響で株価が下がる力」の両方が働いて動いていますが、どちらの力が大きく影響を受けたかどうかは、業界や企業によって異なるようです。
業界や銘柄によって異なる影響
- 割高な銘柄:金利の影響を強く受けて、株価が下がる。
- コロナ不況からの景気回復で恩恵を受ける業界:景気回復期待の高まりで、株が上がる。(石油株・工業株・金融株・旅行など)
ここまでの内容は以下の記事にも書いて、既に知っている人も多いと思います。
【続編】再び市場の動きから金利上昇に強い銘柄を探していく。
3月3日の市場では金利が上昇して株価が下がりました。金利の上昇による悪影響を受けやすい銘柄、受けにくい銘柄をこの日の市場の動きから見て行きます。
ただ、個人的には少し面白いなと思った銘柄がありました。フェイスブックとグーグルです。
週の後半で上昇に転じたフェイスブックとグーグル
週の前半では、フェイスブックもグーグルも金利の上昇を受けて株価が大きく下げていました。
水曜日の取引が終わった後に書いた以下の記事では、あまりにフェイスブックの株が下がってきたので、買いに行ける株価がついていると書いた程でした。
>>【続編】再び市場の動きから金利上昇に強い銘柄を探していく。
ただ、この翌日から同業他社が金利上昇で株価を下げる中でも、グーグルとフェイスブックは株価を上昇しはじめました。
恐らくフェイスブックとグーグルに関しては、週の前半で下落して割高感がある程度解消されて、金利上昇の悪影響を受けづらくなっていたのだと思います。結果、景気が良くなって金利が上昇する悪影響よりも、景気が回復して広告収入が増える期待のほうが膨らんだのかも知れません。
フェイスブックとグーグル株に働いた力
- 景気回復で株価が上向く力:景気回復で広告収入アップの期待が広がる。
- 金利上昇の悪影響で株価が下がる力:既に割高感が少なくなった後半から、株価下落圧力弱まる。
結果、この1週間でハイテク銘柄が下げる中でも、グーグル(GOOGL)とフェイスブック(FB)は上昇して終えることができたようです。
とは言え、グーグルもフェイスブックも”今の長期金利の水準からしたら”それほど割高ではないというだけでなので、これから金利が上がれば、まだ株価が下がる余地があると思います。
ただ、割高が解消されれば、景気回復期待が高まって金利が上昇しても悪影響をそれほど受けず、逆に業績期待から株価上昇が起きる減少が見られたのは、ちょっと面白いです。
まだ米国株全体では、金利が上昇すれば株価が下がる相場(金融相場)の状態ですが、フェイスブックのような銘柄が増えてくれば、金利上昇でも株価が下落しない相場(業績相場)に移行するのかも知れません。
そうなれば、金利上昇が続く中でも米国株全体もまだ上昇の余地がある気がします。
いずれにしても基本姿勢として割高な銘柄を持たいないように意識すれば、大きなダメージは避けられつつ、景気回復の恩恵も受けられそうです。