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アメリカ、3年ぶりの政策金利引き上げ。

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3月のFOMC(アメリカの金融政策を決める会議)が無事に終わりました。

ほとんど予想通りの内容で改めて書くことはそれほどないのですが、3年数カ月ぶりに政策金利が上がったので、やはり記録のために書き残しておこうと思います。

この記事のポイント

  • 2022年3月に3年ぶりに政策金利の引き上げが行われた。
  • 上昇するインフレ率を抑えるための政策変更だが、今回の利上げ開始かなり遅かった。
  • インフレを抑えるためには今後も大きな利上げが必要だが、既にそれほど利上げ余地は大きく残されていない恐れがある。

3年ぶりに利上げ決定


冒頭でも話をしたように、2022年3月にアメリカは政策金利が引き上げられること(利上げ)が決まりました。

前回最後に利上げしたのは、2018年12月だったので3年数ヶ月ぶりのことになります。

今回の利上げは投資家たちの予想通り0.25%分だったので大きな混乱はありませんでしたが、今後もFOMCで利上げの決定が続くと、どこかで以下の影響が出てくると思います。

  • アメリカの景気はじわじわと冷え、数ヶ月から数年かけてインフレ率も投資も消費も伸びを鈍化させる。
  • 金利が上がり続ければ、どこかで株価が金利の上昇に耐えきれなくなって下落する。

一般的には利上げの力が効力を発揮するには時間がかかると言われているので、今回もすぐに景気に影響が出るとは思いません。

>>【関連記事】最初の利上げから景気後退までの期間は、思っているよりも長い。

むしろ、歴史的には利上げ序盤は株価が上昇していることのほうが多いくらいですが、いずれ悪影響が出てくるので注意が必要です。

遅かったFOMCの利上げ決定


「いずれは(利上げの)悪影響が出てくるので注意が必要」と書きましたが、今回の利上げで注意しないといけないことが1つあります。

今回は利上げしてから景気の悪化や株価の下落が起こるまでの時間が、比較的短いかも知れないということです。

具体的には、通常なら最初の利上げから景気後退までは約40ヶ月くらいかかるのですが、今回は1年以内に景気が崩れる可能性は十分あると思っています。

それはそもそもFOMCが利上げを始めるのが遅すぎたことに原因があります。

急ブレーキを踏む必要が出てきたアメリカ

FOMCのメンバーも今回は利上げをするのが遅かったと考えていることが、公開された資料を見るとわかります。

次のグラフは公開された資料に記載があった、今後の政策金利の引き上げ見通しをグラフ化したものです。

これを見ると、2023年と2024年は長期的な金利見通しをよりも引き上げる必要が出てきたとFOMCが考えていることがわかります。

例えるなら、金利の引き上げは車のブレーキのようなものです。

今回はいつもよりもブレーキを踏むのが遅かったために、車のスピードが出すぎてしまったので(インフレ率が予想以上に高くなってしまったので)、急ブレーキを踏むように一時的に政策金利を長期目標をよりも引き上げざるを得なくなったようです。

今回の利上げは急ブレーキが起こるので、恐らく利上げの悪影響となる景気悪化や株価下落が起こるまでは通常よりもずっと早いと思います。

景気は既に鈍化の兆候あり


ついでに言うと、景気悪化の兆候は既に2021年末の実質個人消費の落ち込みとして既に見られています。

>>低調だった2021年12月のアメリカの個人消費

2022年1月はなんとか持ち直しましたが2月は再び低迷している兆候があるので、足腰はそれほど強くないと言えます。

通常通り利上げしてもしばらくは米国株が上昇する時期があるはずだと思っていますが、予想通り株が上昇してくれたら、それが景気後退前の最後の株価上昇になるかも知れないと心配しています。


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