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GDP Nowcastが米実質GDPマイナス成長を示唆しても、まだ慌てなくて良い理由。

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FRBはアメリカの中央銀行ですが、その中にはたくさんの専門性の高いエコノミストたちがいます。

彼ら・彼女らが無料で公開してくれている分析結果があるので、私はそれらを暇なときに眺めているのですが、先週少し気になるデータがあったので取り上げたいと思います。

この記事のポイント

  • セントルイス連銀が発表してるGDP Nowcastによると、アメリカの第2四半期の実質GDPはマイナス成長になる模様。
  • しかし、すぐにアメリカが景気後退に向かうとは限らない。アトランタ連銀やニューヨーク連銀のモデルでは実質GDPはマイナス成長になっていない。
  • あくまでも1つの分析結果が4-6月期の実質GDPマイナス成長を示したに過ぎない。

セントルイス連銀のGDP予想

既に上の「この記事のポイント」でこの記事の内容を余すところなく書いてしまった気がするのですが、少しだけ詳細にふれておきます。

先週眺めていてふと気になったのは、セントルイス連銀が発表しているGDP Nowcastというアメリカの実質GDP予想する数値です。

パッとみたところ、インフレや雇用などの経済指標の発表が予想よりも良かったか(悪かったか)で、GDP成長率の予想を微調整するタイプの数字のようです。

(詳しくはこちらを参照ください)。

このGDP Nowcastですが、2022年第2四半期の実質GDP成長率の予想値がマイナスになっています。

アメリカの景気はまだ強いと思われている中で、これは珍しい予想です。

このGDP Nowcastは、実際のGDP成長率に完全に一致しているわけではないですが、だいたい似たような傾向で動いています。

まだ慌てなくていい理由

ただ、セントルイス連銀のGDP Nowcastがマイナスになったからと言って、すぐに「アメリカの景気後退が近い」というのは違う気もします。

同じような実質GDPの成長率予想はFRBの別の連銀でもやっているのですが、それらはプラス成長を示しているからです。

例えば、アトランタ連銀のGDP Nowというものでは、2023年4-6月期の実質GDP成長率を1.9%と悪くない数字を予想しています。

また、ニューヨーク連銀のウィークリー・エコノミック・インデックス(WEI)もアトランタ連銀ほどではないですが、実質GDPはプラス成長すると見ているようです。

なので、セントルイス連銀のGDP Nowcastの結果に飛びついて「アメリカは景気後退が近い」という考えにならなくていいと思っています。

あくまでも1つの分析結果がそう言っているという程度にとどめておくつもりです。

本当に景気後退が近いなら、そろそろ失業者や失業率に変化が出てくるはずなので、雇用の動向を追うほうが景気後退の訪れを感知しやすい気がしています。


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