Googleの親会社のアルファベットの決算発表がありました。
一見するとそれほど悪くない内容に見えるのですが、投資家の失望を招いたのは成長分野と見られているクラウドでの失速です。
同じ日に決算発表を迎えたマイクロソフトのクラウドの売上が加速した一方で、追いかけるGoogleのクラウドが成長率を落としたことがわかりました。
マイクロソフトの対比で、悪い点が際立ってしまう決算となりました。
この記事のポイント
- アルファベットの7-9月期は予想を超える業績を残した。
- 売上も利益も成長率が加速していて、一見すると業績は悪くなかったように見える。
- しかし、Googleクラウドの売上が予想に届かなかった。投資家の高い期待に答えることができずに株価は大きく下げた。
予想を上回った業績
まず、7-9月期の業績を確認してみると、アナリストの予想を超える業績を残しました。
- 一株利益:$1.55(予想:$1.45)
- 売上:$76.69B(予想:$75.97B)
一株利益と売上については特に問題なかったと思います。売上成長率の+11%はアルファベットにしては物足りないですが、利益はしっかりと前年から成長を遂げています。
業績(10億ドル) | 23Q3 | 前年比 |
---|---|---|
売上 | $76.7B | +11% |
営業利益 | $21.3B | +25% |
一株利益 | $1.55 | +46% |
また、売上も利益もこの数四半期で成長率を加速させている点は良い傾向です。また本調子ではないですが、2022年に苦しんでいた姿ではありません。
というわけで、業績は一見すると悪い数字には見えませんでした。
クラウドの低迷
しかし、この決算発表後にGoogleは大きく売られることになります。翌日の下落率は9%を超えて、2020年3月以来の大きなものになったようです。
この原因は、恐らくGoogleクラウドの不振です。この売上が今回予想を下回ってしまったのはいただけなかったです。
- Googleクラウド売上:$8.41B(予想$8.64B)
「たったこれだけで、アルファベット株が9%も売られるのか」というかもしれませんが、冷静になって考えてみると今回のGoogleクラウドの低迷が重要だった点はいくつかあります。
- アルファベットの売上の中で成長の牽引役だったクラウドの売上が鈍化した。
- マイクロソフトのクラウドは成長が加速したことと対比された。
- AIブームにGoogleが乗れるという期待がはがれた。
まず、最近のアルファベットにとってGoogleクラウドは売上成長の牽引役でした(下図)。これはGoogleにとって痛手でした。
加えて、投資家にとって心象が悪かったのは同じ日に決算発表があったクラウドのライバルのマイクロソフトは売上成長率を回復させている点です(下図)。
クラウドの成長率でマイクロソフトとGoogleに明暗が別れてしまったので、Googleのクラウドがより悪く見えてしまったかもしれません。
最後に、今回のGoogleクラウドの売上鈍化で、GoogleはAIブームに乗れていないという判断を投資家からされてしまった恐れがあります。
ChatGPTから始まった今のAIブームに乗っているならGoogleクラウドの売上が伸びてるはずでした。しかし、前回の決算で前年比+28%だったクラウドの売上が今回+22%まで落としてしまったことで、投資家の期待は薄れたと思います。
2023年の前半はAIブームと呼ばれて大手ハイテク企業の株が買われました。
その期待が高かった分からでしょうか、今回のアルファベットの決算は売上も利益もそれほど悪くないのですが、Googleクラウドの失速が投資家の失望を誘ったように見えます。