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Google人工知能、乳がん検診で専門家の精度を超える

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Googleは、AIのほうが人間の専門家よりも正確に乳がんを見つけ出すことに成功したと発表しました。

2020年1月1日の科学雑誌Natureで、2年間にもおよぶ乳がん検診の研究の成果をまとめた論文が発表されています。

この記事のポイント

  • GoogleのAIは、マンモグラフィ画像から人間の専門家よりも正確に乳がんを見つけることに成功。
  • 人工知能を医療分野に活用しようとしているIT企業はGoogleだけではない。IBMもマイクロソフトも研究を手掛ける。またアップルの時計は医療データ収集にも期待がかかる。
  • IT企業の医療分野進出は時間がかかるものの、今後も着実に進む見通し。

GoogleはIT企業の中でも、人工知能(AI)に特に力を入れている企業です。多数の専門家を抱えて、まだ研究段階の技術であっても磨き上げて、製品やサービスに利用しようとしてきます。

今回の乳がん検診の取り組みは、まさにそんなGoogleらしさが現れた発表になりました。

乳がん検診で人間の医師の精度を超えたAI

Googleがどんなことをやったのかですが、Natureの論文を読むのはツライので、さらっと概要をまとめておきます。

  • 英国7.6万人・米国1.5万人のマンモグラフィ画像データから、乳がんを識別するAIを作った。
  • 別のマンモグラフィ画像(英2.5万人、米3千人)で検証した所、専門家を上回る精度でがんを識別できた。
  • 誤ってがんと診断する確率は、専門家より英で1.2%、米で5.7%低かった。
  • がん画像を見過す確率も、専門家より英で2.7%、米で9.4%低かった。

人間の専門家の識別精度を上回ったことで、システムで乳がん検診を効率化して、医師をサポートできるようになる可能性が出てきたとGoogleは言っています。

実は、人工知能の領域で仕事をしている人達にとっては、画像からガンを診断するのは新しい話ではありません。肺がんの分野でもGoogleは既に2019年の研究初期段階から、医師の診断精度を上回っていると報告をしています。

>>Google、研究初期段階ながら放射線科医以上の肺がん検知AIを実装。

医療業界に進むIT企業

AIを使ってがんの診断を正確かつ効率化するというのは、言い方は悪いですが「Googleが今後儲かりそうな気配を感じる話」です

医療業界はかなり保守的なので時間がかかるかもしれませんが、IT業界がAIを通じて、医療分野で活躍する未来は高い確率でやってくると思います。

画像のAIに強みを持つGoogleは画像からガンを判定しようとし、言語のAIに強いIBMは患者データから関連する論文・雑誌を検索し、AIが医師に治療方針の推奨とその根拠を提示するWatson for Oncologyという医師向けのサービスを行っています。

マイクロソフトもMicrosoft Healthcare(マイクロソフト・ヘルスケア)という組織で、心臓発作のリスク検知システムの開発や、ガン治療薬の最適な組み合わせを予測するAIの研究など、医療分野への応用を進めています。

AIを使うためには医療データを収集する必要がありますが、アップルのAppleWatchは心拍数など医療データを収集するのに最適です。モルガン・スタンレーは、アップルが医療分野に進出すれば、最大でビジネス規模は2027年に1.5兆円から最大34兆円になると楽観的な見方をしています。

個人的はアップル1社の1部門で34兆円はさすがに…と思っていますが、大きな期待と可能性があることはわかります。

長い目で見て、IT業界の医療分野進出は企業に大きな収益をもたらす動きになるかもしれません。


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