2019年香港はマイナス成長へ
香港は2019年にGDPマイナス成長に陥りそうです。香港政府のポール・チャン氏は0-1%のGDP成長率ですら達成が難しいと見ているとブルームバーグが伝えています。
陳財政官は年間の域内総生産(GDP)が減少する「可能性を排除することはできない」
(中略)
「0-1%成長の予想を達成するのは極めて困難なように見える」と指摘した。
その原因は「4ヶ月にも及ぶ社会不安」と書いています。もちろん、これは香港の逃亡犯条例をきっかけに起こったデモのことを言ってるのでしょう。この記事を書いている時点で、週末のデモは21週になった模様なので、香港経済にとっても大ダメージを追っているに違いありません。
でも、本当にデモの影響でしょうか。次のグラフは直近3年間弱の香港のGDP成長率(前期比)ですが、2019年4月にデモが始まるかなり前から香港の景気は怪しくなっています。
ついでに言うと、米中貿易戦争で初めて制裁関税をかけたタイミングよりも早く、香港の経済は既に悪化しています。
なので、デモも米中貿易戦争も香港の景気を急減速する要因にはなっていますが、もう少し前の2018年第1四半期から、何かあったのだろうと思います。
貿易の低迷
私の考えでは、2018年第1四半期からの急速に輸出を絞った中国の影響を受けていると思っています。以下の記事で詳しく触れましたが、中国は2018年第1四半期から、国内の景気が一気に冷え込んでいて、輸入を急減速させています。
香港は世界の国と地域別で見たときに、GDPに占める輸出の金額が突出して高いです。
しかも、その貿易相手はほとんどが中国なので、中国の輸入の減少(香港にとってGDPの稼ぎ頭である輸出の減少)がもろに香港経済にダメージに受け始めたのが2018年第1四半期だったんだろうと思います。
- 輸入元:中国(47.8%),台湾(7.3%),シンガポール(6.5%)日本(6.2%)
- 輸出先:中国(54.1%),米国(9.0%),日本(3.2%)
ちなみに、先進国の中では輸出依存度が高いドイツのGDPがガタッと落ち始めたのもこの2018年第1四半期です。
なので、順を追うと2018年上半期から(1)中国の景気の低迷のあおりを受けて香港は輸出で伸び悩んで景気が低迷し、その上、(2)2018年下半期からは米中貿易戦争の関税がはじまり、(3)2019年3月末からのデモの影響を受けているのが、今の香港だと思います。
これだけ色々重なれば、マイナス成長は不可避なのかもしれません。