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世界の国々の景気サイクルの現在地。原因は貿易から広がる世界の景気の弱さ。

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世界の国々の景気の現在地は

米中貿易戦争は9月に予定していた一部の関税発動が延期され、張り詰めていた緊張の糸がわずかに緩みつつあります。

米、追加関税の延期と一部中止を発表。株価は大幅高。

しかし、一方ではシンガポールが2019年のGDP成長率を大幅に引き下げたり、オーストラリアが過去最低水準の政策金利に引き下げたりと、世界中の国で変調が見られています。

世界経済全体に減速するリスクがあったり、既に新興国では変調があったりしてますが、結局の所、現時点での景気をどのように捉えればいいでしょうか。

貿易の影響を受けやすい業界と国に影響が出始めた世界の景気

2019年8月時点の景気について世界中を見渡すと見えてくるのは、「製造業・流通業界」と「新興国・発展途上国」の一部に景気の弱まりです。その他については、まだ弱い景気拡大が続いていると言えます。

ここからは私の考えですが、おそらく世界的な2018-2019年の景気の弱まりの原因は貿易環境の変化による製造業の不振だと思っています。

米中貿易協議やイギリスのEU離脱に関連する貿易交渉の難航、さらに内需が弱まった中国が輸入を減らしていること等、経済大国で貿易環境が変化しており、世界中の国の製造業がその影響を受けているように見えます。

そんな中で、体力的に弱い新興国や発展途上国では、既に製造業の不振の影響が国全体の景気に影響が出てきた可能性があります。

サービス業が強い英米、製造業が強い独で景気の差

先進国について見てみると、まだまだ成長を続けているのはアメリカ・イギリス。やや本調子ではないのはドイツです。

貿易戦争の渦中にいるアメリカですが、製造業はGDPの11%ほどしか占めておらず、個人消費が前年比で4.0%の伸びを見せていることから、緩やかな景気拡大を続けています。

米GDP、2019年4-6月期は2.1%で予想ほど減速せず。

またイギリスは2019年4-6月期で予想外のGDPマイナス成長を見せましたが、これはEU離脱に関連した混乱によるもので、一時的な可能性が高いです。実際に8月13日に発表されたイギリスの賃金の伸びは力強いものがありました。

英賃金、4―6月は前年比+3.7% 11年ぶりの高い伸び(ロイター)

一方で、心配なのは工業国のドイツです。2018年第3四半期でマイナス成長、同第4半期ではゼロ成長でギリギリところで景気後退入を免れていましたが、発表される2019年第2四半期では再びマイナス成長に陥っています。

やはり製造業のドイツの不振と、サービス業と個人消費でで景気を持ちこたえているアメリカ・イギリスの構図が見え隠れしている気がします。

変調が見え始めた一部の新興国

一方で、新興国や発展途上国に目を移すと、こちらは既に様々に荒れた展開をしている国が見られます。

まず、物価の高騰から政治的と経済の混乱を招いているアルゼンチン、原油安と政治的からベネズエラなど国内要因で経済が悪化している発展途上国が目に止まります。

歴史的なアルゼンチン株暴落とその背景まとめ

これらは政治的混乱などの国内要因が大きいので、一旦は脇においておくとしても、その他の比較的今まで安定して発展してきた新興国でも変調が見られます。

具体的には、近年中国への輸出依存を高めていたオーストラリアが過去最低水準の低金利に陥ったり、近年電子製品の生産で好調だったシンガポールが2019年のGDP成長率を大幅に引き下げたりと、景気の変調が国全体に及んでいる姿が見られています。

世界のGDPに変調の兆し。シンガポールは予想外の2019年2Q大幅マイナス成長。

中国への依存度を強めるオーストラリア、政策金利引き下げ。
(※注:オーストラリアは住宅価格の下落など、別要因も絡んでいます)

こうした新興国は、アメリカ・中国・日本・イギリス・EUなどの先進国と違って経済的な体力がないので、いち早く国全体に影響範囲が及んでいる可能性があります。

こうした新興国の不調が深刻化するのか、または他の国にも連鎖するか否かが、今後の景気を見る上での判断材料の一つになりそうです。


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