このブログではアメリカの経済の様子を調べるためにFREDというサイトで、データを加工して見ています。
ここでは、アメリカの雇用の変調や景気後退までの距離を知るために使えそうな2つのデータを紹介します。
この記事のポイント
- 失業率の上昇からアメリカの景気後退の突入時期を判断するサームルールと呼ばれる基準がある。これはFREDのサイトで毎月データを確認できる。
- 失業率が悪化する前には雇用の悪化を見られるはずだが、民間企業から労働者への給与支払い総額を見れば雇用の悪化の到来を知ることができる。
失業率の上昇から景気後退を読み取るサームルール
アメリカでの公式な景気後退入りの宣言は、かなり遅いことで有名です。毎回景気がかなり悪化してから「今から思うと、1年前のあの時期から景気後退に突入していました」という報告がされます。
なので、投資家は景気後退に入ったかどうかを各自判断してリスクを落としたりする必要があるのですが、どういう状況になったら景気後退に入ったと考えればいいのでしょうか。
その助けになるのが、サーム・ルールという景気後退の判断基準です。
- 過去3ヶ月間の失業率の平均値が、過去12ヶ月間の失業率の最低値にくらべて0.5%以上上昇したら、景気後退期と判断する。
昨年からこのサームルールにどの程度近づいているかを調べるために、手元でグラフを作成していたのですが、調べてみるとFREDにはサームルールのグラフがあり毎月更新されているようです。
これを見れば、毎月データを更新して手元でグラフを作成する必要はなかったみたいです。便利な世の中です。
民間企業の給与支払い総額
もう一つ、景気悪化の進み具合を知るデータをFREDで見ていきたいと思います。
企業は人員削減をする前に、労働時間を減らしたり、時給の伸びを鈍化させたりする傾向があります。それなら、企業が労働者に支払う人件費増額の伸びが悪くなっていくことで、雇用(景気)悪化を知ることができるはずです。
次のデータは民間企業から労働者への給与支払い総額を計算して、その伸び(前年比)をグラフ化したものです。
(民間従業員数×週労働時間×週給で算出しています)
この伸びは5%を下回って下がっていくと景気後退が近づくようなのですが、まだ5%の伸びをハッキリと下回っていく姿は見られません。
私は2024年のどこかでアメリカは景気後退になると思っていますが、おそらくはアメリカの景気後退は差し迫っていないのでしょう。今後は、いつ頃から給与総額の伸びが5%を下回って雇用が弱まり始めるかを注目したいと思います。