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アメリカの失業者が増えつつあるわずかな兆候

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先日、5月の雇用統計の数字の読み方を紹介したブログの中で、ブラックロックが「好調な雇用統計を見るのは最後になるかも知れない」と言っていると紹介しました。

アメリカの雇用状況の悪化はそこまで急ではないと私は思っているのですが、今が一番雇用環境が良い時期で、これから1年くらいかけてジワジワ失業率が上昇する転換点に来ているかも知れません。

まだ気にする必要もないくらいわずかな規模ではありますが、アメリカの雇用が暗転しているかも知れない兆候が見られるので、ここで取り上げます。

この記事のポイント

  • 最新のアメリカの失業率はデータの上ではまだ上昇(悪化)は始まっていない。しかし、新規失業保険申請件数は2022年4月に既に上昇に転じている兆候が見られる。
  • 新規失業保険申請件数が底打ちすると、約1年から約2年の間に景気後退になることが多い。

現時点のアメリカの雇用環境


まず、この記事を書いている時点のアメリカの雇用統計からわかる情報をおさらいしておきます。

  • 予想ほど悪くないが、雇用者の伸びは鈍化が続いている。
  • 賃金は伸びているが、賃金以上に物価が上昇しているので、このままではアメリカ経済の景気はいつか悪化する。
  • ただし、景気後退前からは上昇するはずの失業率はまだ上昇に転じていない。景気後退まではまだ時間がある。

>>【詳細】2022年5月の雇用統計の読み方

要するに、これから失業率が上がってくると段々と景気後退に近づいていくるはずだと思っています。

問題はいつから失業率が上昇してくるのかです。

実は、既に失業者は増加を始めているように見える兆候がわずかにあるので、次から見ていきます。

新規失業保険申請件数に変化の兆し


実は毎月1回の雇用統計を待たなくても、毎週どれだけの人が失業保険を申請したか(失業保険申請件数)を見ることで、失業者の傾向をいち早く掴むことができます。

最近のアメリカの新規の失業保険申請件数を見てみると、今まで減少していた流れが4月の1週目に終わって、上昇に転じているようにも見えます。


出典:FRED

失業保険を申し込む人の減少が止まって増えつつあるなら、失業率が底を打って上昇に転じる可能性があります。

新規の失業保険申請件数の伸びはまだかなり緩やかなので、トレンドが転換したというには上昇の力強さが足りませんが、「失業率が悪化するかも知れない兆候」らしきものを感じることはできます。

新規失業保険が上昇に転じた後

もしも新規失業保険申請件数が底をつけて、上昇に転じた場合には10ヶ月から約2年で景気後退が来ているようです。

まだハッキリとはしませんが、もしも2022年4月に新規失業保険が底打ちして上昇に転じたとなれば、それから10ヶ月後の2023年2月にも景気後退になる恐れがあります。

昨日の記事では、別のデータを使いながら2022年12月から2023年12月頃に景気後退に入るかも知れないと推測しましたが、新規失業保険のデータを使ってもだいたい同じくらいの時期にアメリカの景気が悪くなりそうです。


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