このブログではしばらく取り上げていませんでしたが、新規失業保険申請件数というデータを覗いてみたいと思います。
新規失業保険申請件数は今週もかなり低い水準に留まっています。
アメリカの景気はあまり良いとは思えないのですが、どうしてもこうも失業者が増えないんだろうと少し不思議な感じがします。
この記事のポイント
- 新規失業保険申請件数は過去1年でもっとも低い値を記録した。
- アメリカはいずれ景気後退になるだろうと思っているが、雇用はまだまだ強い。景気サイクルで景気後退に陥るにはかなりの時間がかかりそう。
新規失業保険申請件数は低水準
数日前に1月7日から13日までの1週間の新規失業保険申請件数のデータが発表になりました。
失業保険を新たに申請した人は、かなり低水準にとどまっています。
- 予想:20.5万件
- 結果:18.7万件
このデータですが2023年の6月までは上昇していたのですが、それ以降はずっと低下傾向が見られます。
最新の1月7日週のデータは過去1年間でもっとも少ない新規失業保険申請件数を記録したようです。
雇用の強さから考えてること
失業保険申請件数だけ見ていると、まるでアメリカは不景気とは無縁のようです。
アメリカ経済の軟着陸(ソフトランディング)を信じる人達に勇気を与えるようなデータとなっています。
私はアメリカがいずれ景気後退に陥ると思っている側の人間なのですが、どうしてこんなにも失業者が低水準なのか不思議な気がしてきます。
アメリカの景気後退入りの予想が間違っているとは思いません。今のアメリカは次のように、景気の悪化を示すような兆候が多数出でいます。
- 長短金利の逆転(景気後退前にはこの逆転現象が見られる)
- 景気先行指数の悪化
- 1年以上も続く製造業の不振
- 小規模銀行で見られるクレジットカードの延滞率の急上昇
また、一部では雇用も悪化しており、例えば景気後退時には必ずと言っていいほど見られる「運輸・倉庫の従業員数の減少」は既に見られています。
ただ、雇用の悪化は一部だけで、全体的に企業は人員を削減するよりも採用しようと力を入れています。
次のグラフは求人率と失業率を描いたものですが、求人率は失業率を大きく上回っています。
過去の景気後退期では失業率が求人率を上回っているので、もしも(何かしらの金融ショックなどではなく)景気サイクルでアメリカが景気後退になるなら、まだしばらく時間がかかるのだろうと思います。