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インテル、新型ウイルス流行の中でも収益+23%の高成長【20年1-3月決算】

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インテル強いですね。2020年1-3月期はかなり好調でした。

1-3月期の後半は新型コロナウイルスの影響があったはずですが、それにも関わらず前年比+23%の売上増加は力強いです。

ただし、4-6月の売上見通しを低く発表したことで、決算発表後に6%ほど株価を下げています。

この企業は業績見通しをいつも低めに発表する傾向があるため、来期以降の売上がどこまで低迷するかはフタを開けてみないとわかりませんが、インテルは面白い銘柄だなと思います。

この記事のポイント

  • 新型コロナウイルスの中でも、インテルは好調な1-3月期の業績を発表した。売上は前年比で23%、一株利益は63%増加した。
  • 幅広い部門で業績が好調だった。データセンター向け部門は収益43%増。世界のPC出荷台数が10%減る中でも、PC向け部門で+14%を記録した。
  • ただし、第2四半期の予想をやや悲観的に見積もり、20年後半の売上は厳しくなるとコメントだけして通年の業績見通しも提示しなかったことから株は売られた。

2020年1-3月期結果


インテルの決算はかなり力強かったです。

  • 一株利益:1.45ドルで、予想の1.27ドルを上回った。(前年比+63%)
  • 収益:198.3億ドルで、予想の186.6億ドルを上回った。(前年比+23%)
インテル 20年1Q 前年比
収益 $19.8B 23%
営業収益 $7.0 69%
営業利益率 35%
純利益 $5.7B 42%
純利益率 29%

利益は63%、収益は23%増加するなど、堅調そのものです。

調査会社のIDCによれば、1-3月期はPCの出荷台数は10%減少していたはずなのですが、インテルが得意とする高性能なPCやサーバーの需要は引き続き強かったのでしょうか。

>>【参考記事】Traditional PC Shipments Saw a Sharp Decline in Q1 2020 Despite Increased Demand to Meet Remote Work and School Needs, According to IDC(IDCによる2020年1-3月期のPC出荷数調査)

また、売上成長率+23%は過去の数四半期と比べても、好調です。

部門別売上

好調の原因は何かを調べるために、部門別売上を見ていきます。

インテルの決算で部門別売上を見ると、CCGだったり、DCGだったり略語が多くて戸惑うので、一旦整理しておきます。

インテルの部門

  • CCG:デスクトップPC、ノートPC、タブレット向けのチップを製造。
  • DCG:データセンター向けにチップを製造。
  • IoTG:組み込み用半導体を製造
  • Mobileye:車の衝突回避などの先進運転支援システムとその半導体を製造。
  • NSG:メモリとストレージを製造。
  • PSG:プログラム可能な半導体FPGAを製造。

たくさん、いろんな用語が出てきましたが、抑えておくべきは売上規模が大きいPC向けチップの部門(CCG)と、企業のデータセンター向けチップの部門(DCG)です。

部門 収益(10億ドル) 前年同期比
CCG(PC向け) 9.8 14%
DCG(データセンタ) 7.0 43%
IoTG 0.9 -3%
IoT-Mobileye 0.3 22%
NSG(メモリ・ストレージ) 1.3 46%
PSG(FPGA) 0.5 7%

まず、最も売上規模が大きいPC向け半導体部門(CCG)は+14%で、なかなか好調です。先程も言ったように、世界のPC出荷台数はマイナス10%で減少していることを踏まえると、+14%の成長率は「なかなか好調」ではなく、「かなり好調」と言えるかも知れません。

また、データセンター向け半導体は前年比+43%と大幅に上昇しています。新型コロナウイルスの影響で、世界中で自宅待機が進んで、ネット(クラウド)の需要が急増していますが、そのクラウドを支えるデータセンターへ大量の半導体を供給していたようです。

その証拠に、クラウド事業者への半導体売上が+53%増加したとインテルが言っています。

控えめな4-6月期の業績見通し

2020年1-3月は好調だったインテルですが、次の4-6月の業績見通しは、やや低めに設定しています。この低い業績見通しが理由で、株は決算発表後に一時6%売られました。

4-6月期の業績見通し

  • 一株利益:前年比+4%増の1.10ドル。(1-3月期は前年比+63%)
  • 収益:前年比+12%増の185億ドル。(1-3月期は前年比+23%)

インテルはいつも業績見通しはかなり低めに設定する企業なので、今回も例によって将来の自分たちが飛び越えるための低いハードルを設定しただけかも知れません。

インテルへの投資を前向きに検討

正直いうと、インテルがこんなに業績が良いとのは完全に予想外でした。

半導体業界は景気全体と違った業界サイクルがあるので、投資の判断が少し難しいですが、そんな中でもインテルは長期的に市場平均を超えている銘柄なので、もう少し詳しく投資を検討しても良いかなと思い始めました。

少し気になるのは、1-3月で力強かったデータセンター向けチップ販売が、2020年下半期に企業と政府の需要が減るために弱くなるとインテルが発言している点です。

今のインテルの高成長はデータセンター向け販売に支えられているので、ここが弱くなると収益が落ちる恐れもあります。

ただ、長期的にはインテルは新型コロナウイルスもデータセンタの需要減少も乗り越える自信があるようです。

以下は、決算スライドの最後に貼られていた言葉ですが、この危機を乗り越えるインテルの自信を感じる1ページでした。

悪い企業は危機によって潰れる

良い企業は危機を乗り越えることができる。

そして、偉大な企業は危機を経て。より良くなる。


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