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長短金利差拡大の恩恵を受けるアメリカの銀行に投資する

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2021年はアメリカの銀行株にもチャンスがあると思っています。

リーマンショック後の銀行株を見てきた投資家の方は「銀行株なんて全然上昇しない株だ」という認識もあるかも知れませんが、環境は少しずつ変わってきているように思います。

この記事では、なぜ2021年以降に銀行株にチャンスがあると私が思っているのかを少し詳しくお話し、さらにどの銀行がチャンスが大きそうかを数字を拾いながら考えていきます。

この記事のポイント

  • 景気拡大時には、長期金利と短期金利の差が大きくなり、その差を活かして儲かる商売をしている銀行は儲かりやすくなる。
  • このストーリーに投資する場合には、銀行の金利収入の割合に注目する。銀行の中でも金利収入が少ない企業があるので、それらはこの対象からは外す。
  • 景気拡大時の金利差を利用して銀行株に投資する場合には、金利差の縮小には注意。

2021年に銀行株が上がりやすい仕組み


この記事を書いている2021年2月の時点で、私はJPモルガン・チェースやウェルズ・ファーゴなどいくつかの銀行株にも投資しています。

>>保有銘柄

いつもなら、この投資理由を聞かれたときには「景気回復が始まると、銀行は儲かりやすくなるから株を買っている」と言っているのですが、この記事では銀行が儲かる仕組みをもう少しだけ詳しくお話しようと思います。

低い金利でお金を集めて、高い金利で貸す銀行

まず銀行がどうやって、お金を儲けているかをおさらいします。

(正確ではないのですが)ざっくり言うと、銀行は普通預金などの低い金利で集めたお金を、住宅ローンなどの高い金利でお金を貸し出して、その金利の差を利用して儲ける商売をしています。

一般的に預金は短期金利に連動して、住宅ローンなどは長期金利に連動して動くようになっています。なので、世の中の長期金利と短期金利の差が大きくなればなるほど、銀行は儲かりやすくなります。

そして、実際にアメリカの長期金利と短期金利の差を見てみると、2020年半ばで底を打って差が大きくなっていて銀行の金利収入が増えやすくなっていることがわかります。

アメリカの長短金利差は2020年から拡大中

出典:FRED

今後、景気回復が続けばますます長期金利は上昇しやすくなるので、コロナの収束が見えて景気が回復する2021年は金利差が大きくなり、銀行の収入が上向くはずです。

この傾向は、政策金利(≒短期金利)が急いで引き上げられたり、次の景気後退の懸念が起こるまで続くと思われます。

金利収入が多い銀行に収益増加のチャンス

これから世の中の長短金利差が拡大することを期待して、銀行株に投資するなら、どこが良いでしょうか。

銀行の中でも売上に占める金利収入が多くない銀行もあるので、やみくもに銀行株を選んでも思ったほど株価が上がらないかも知れません。

なので、アメリカの主要な金融機関の2020年10-12月期の決算資料から数字を拾ってきて、銀行ごとに売上に占める金利収入を割合を調べてみました。(ちょっと面倒でした。)

結果はこちらです。

これを見ると、投資銀行で強みを持っているゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーは金利収入の割合があまり大きくないので、金利差拡大のストーリーで投資する場合の対象からは外しても良さそうです。(この2社は投資銀行業務が中心なので、これは調べる前から検討がついていた人も多いと思います)

有名な大手銀行を狙うならシティ(純金利収入割合:64%)は良い投資のチャンスがあるかも知れません。ついでUSバンコープ(同55%)、ウェルズ・ファーゴ(同52%)、バンク・オブ・アメリカ(同51%)あたりが続きます。

ウェルズ・ファーゴとバンク・オブ・アメリカは同程度の金利収入の割合を持っていますが、「予想PER」や「52週最高値からの下落率」などの割安さを調べてみると、ウェルズ・ファーゴのほうが良さそうです。

有名な銀行でなければ、シティなみに金利収入の割合が大きい高い銀行もあるので、探してみると面白いかも知れません。

まとめ

この記事では、これから景気が回復すれば長期金利と短期金利の差が広がって、金利収入を得る銀行が儲けやすくなるという話をしてきました。

そして有名な銀行の間で、金利収入が多い企業も見ていきました。シティ(C)、USバンコープ(USB)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)あたりは、今後の金利収入の拡大を見越して投資できる対象になると思います。

ただし、この投資の賞味期限は長短金利差の拡大が続くまでなので、定期的に金利差が拡大しているかどうかは確認しておいたほうが良さそうです。

長短金利差が拡大が止まってしまう出来事としては、アメリカの中央銀行が「政策金利(≒短期金利)を引き上げる」「長期国債の買い支え金額を増やす」「(日本のように)長期金利の目標値を設定して、一定以上上がらないようにコントロールを始める」などがあります。

どれも中央銀行に関連することで、このあたりは投資しながら金融システムの知識も身につけていく必要がありそうですが、きっとその分の成果がリターンになって返ってくる投資になると思って、今は銀行株に投資しています。


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