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10月の米企業の景況感にもリセッションの影がちらつく

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この1週間でISMから企業の景況感について書いていきます。

11月に入ってから少し投資家が持っている印象が「アメリカの景気は強い」から「リセッションが近づいているのではないか」という弱気に転じつつあるのを感じますが、その最初のきっかけになったのがISM製造業指数だったと思います。

この記事のポイント

  • 10月のISM製造業指数は前月から低下した。特に雇用指数は大きく低下した。
  • 10月は製造業だけではなく、サービス業も低調だったもよう。ISM非製造業指数は50を上回ったものの予想を下回った。
  • アメリカのリセッションが近づいていることを投資家が意識し始めたのか、長期金利は下がり、利下げ予想も早まっている。

ISM製造業指数は予想以上に悪かった

毎月ISMは企業にアンケートをとってその集計結果を数値化してまとめています。

11月1日に発表されたISM製造業指数は、予想よりも少し大きめに下回りました。

  • 予想:49.0
  • 結果:46.7

この数字は50を下回ると景気悪化、50を上回ると景気拡大をしていると見ます。

今回はもともと予想49で「少しの景気悪化にとどまるだろう」と思われていたのですが、予想よりもやや大きめの景況感の悪化となってしまったようです。

実は、最近数ヶ月のISM製造業指数は回復傾向にありました。1ヶ月前にこのブログでも最近のアメリカの製造業は調子を上げていると書いています。

しかし、今回予想を大きめに下回ったことで、この回復傾向も終わったかもしれないという印象を受けます。

たった1ヶ月調子が悪かっただけで「回復基調が終わった」というのは、たしかに結論が早すぎるかもしれません。

ただ、個人的にはISM製造業の中で雇用指数が急低下している点は気になっています。

去年から言っているように、今のアメリカは強い雇用が強い消費を支えていた側面があります。その雇用がゆらぎ始めたのかなと考えると、消費を通じてアメリカ経済全体に悪影響が出てもおかしくないだろうと思います。

サービス業も10月の景気はさえなかった

また、製造業指数から2日遅れた11月3日にISMは非製造業指数(サービス業の景気指数)も発表しました。

こちらも予想よりも弱い数字が出されています。

  • 予想:53.0
  • 結果:51.8

今までは製造業の景気は悪くても、サービス業(非製造業)が景気の強さを牽引していました。

しかし、今度は製造業もサービス業も景況指数が50割れをしてしまう(景気悪化に落ち込んでしまう)可能性が出てきていると思います。

下のグラフは最近のISM非製造業指数で回帰分析をしてみた結果ですが、来月発表される11月かその次にでもISM非製造業指数が50を下回ってもおかしくないという結果が出ています。

しばらく前から、このブログではISM非製造業指数は50を下回ってもおかしくないと言ってきましたが、そろそろその時期が近づいてきたかもしれません。

さいごに

ここまでISMから発表された企業の景況感が10月は良くなかったという話をしました。

11月3日に発表された雇用統計も冴えなかったことも合わせて考えると、あと数ヶ月でアメリカはリセッション入りする可能性が出てきているのではないかと思っています。

アトランタ連銀のGDP予想(GDPNow)では、10月のISM製造業の低迷がわかった直後から10-12月期の経済成長率を大きく引き下げています。

企業の景況感は落ち、雇用の強さも失われているということから、投資家たちはそう遠くない時期に利下げが始まるのではないかと再び考え直しているようです。

2023年前半のように、そろそろアメリカにリセッションが来るかと思いきや実はまだまだアメリカの経済が強かったと分かれば、再び利下げ時期は遠のく展開もまだありえます。

ただ、個人的には保有している米国債が報われてほしいので、利下げができるだけ早く来てくれることを望んでいます。


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