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景気拡大ペースの減速が続くアメリカ経済【ISM製造業指数】

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毎月1日に、アメリカの景気の強さを確認できるISM製造業指数が発表されるので、今月も確認していきたいと思います。

4月もISM指数はよくありませんでした。先日のアメリカの1-3月期のGDP成長率といい、最近の経済指標はあまり良くない数字が続いている印象です。

この記事のポイント

  • 4月のISM製造業指数は予想ほど良くなかった。景気の減速傾向は続いている。
  • 新規受注の伸び鈍化など減速傾向が見られる一方で、供給遅延は悪化するなどインフレ圧力は強い。
  • アメリカの消費者物価はピークが近いのかもしれないが、インフレが低下する兆候はまだ見えない。

需要の伸びが鈍化する中でも高いインフレ圧力


ISM製造業の数字は50より大きければ前月よりも景気拡大、50よりも小さければ景気縮小を意味します。

4月のISMの数字は50は超えているものの予想を下回り、このところの景気拡大の減速傾向が続いている様子が見られました。

  • 予想:57.6
  • 結果:55.4(前回:57.1)

以下が最近のISM製造業指数の変化を追いかけたグラフですが、低下傾向(景気拡大スピードの鈍化傾向)が続いていることがわかります。

今月は特にかなり内容が良くなかったです。結果の詳細を見てみると、「新規受注」などの需要を示すほとんどの項目で前月よりも景気拡大の減速を示しています。

また、それにも関わらず「供給遅延」は上昇していて、需要が減っているのにインフレ圧力がまだ強い状況が続いています。

製造業の企業が支払っている価格は前月よりは少し低下したものの、かなり高い水準が続いています。

この価格指数はアメリカの消費者物価とゆるくつながっており、価格指数が伸びれば消費者物価指数も伸びるという関係が続いています。

価格指数の伸びが止まっているのは不幸中の幸いですが、2021年から高止まりが続いていてインフレの解消の兆しはまだ見えていません。

景気後退は迫っているのか


さいごにISM製造業指数の「55.4」という数字の見方について、少しわからない点をあげておきます。

先程50を下回っていれば景気縮小と言いましたが、「今月は50を超えているので、景気後退はまだまだ先」と言っていいかは、私には正直よくわかっていません。

たしかに、過去30年程度の低インフレの時代には景気後退入りしたタイミングのISM製造業指数は50か50を下回る水準になっています。

過去30年分のISM製造業

一方で、今と似たような高インフレ時代の1970年では、50をはるかに大きく超える水準でも景気後退になっています。

1970年代のISM製造業指数

なので、今月は確かに50を超えていますが、だから景気後退までにはまだ時間があると判断するのは早そうです。ISMだけでなく、毎月前半に発表されるさまざまなデータを見ながら考えていきたいと思います。


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