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景気の良くなかった6月の米製造業、4-6月期のGDP成長率予想はさらに悪化へ。

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毎月1日にはアメリカの景気を知るために、多くの投資家が注目しているISM製造業指数が発表されました。

6月分の結果は悪かったと思います。特に良くない印象を与えたのは、5月に比べて6月は新規受注が悪化したことです。

そして、この低調なISM製造業指数の結果を受けて、4-6月期のGDP予想はまた悪化してしまったようです。

この記事のポイント

  • 6月のISM製造業指数は予想を下回る53.0だった。特に、新規受注と前月よりも悪化していることを示す50以下を記録したのは良くない点として印象に残った。
  • このISMの結果を織り込んで、アトランタ連銀の4-6月期GDP成長率予想が一段と悪化した。

内容の悪かったISM製造業指数


6月のISM製造業指数の結果を確認していきます。

  • 予想:55.3
  • 結果:53.0(前回:56.1)

予想に届かない53.0を記録しています。一応、50を超えれば前月よりも景気は拡大していると言えるのですが、以下のグラフでもわかるように最近は順調に右肩下がりになっています。

そして、内訳を見るとかなり不安の残る内容になっています。

新規受注の悪化と高止まりを続ける価格指数

今回の結果で一番まずい点は、6月に新規受注が大きく悪化したことです。

6月の新規受注の指数は50を下回っていて、これは5月に比べて6月は悪化してることを示しています。

また、景気が悪くなりつつあるならインフレ圧力も弱まってくれれば良いのですが、弱まったのも少しだけで支払い価格指数はまだまだ高い状態が続いています。

アメリカの製造業は受注は減って業績が不調になってきているのに、それでもインフレ圧力はまだ根強く残っているようです。

市場の反応

ちなみに、この結果を受けた各市場の投資家たちの反応はまちまちでした。

いち早く危険を察知したのは、リスク管理の意識が高い債券市場の投資家です。

最近10年は長期国債を購入して不景気に対応しようとしている動きが見られていましたが、結果の悪かったISMの数字が発表された日も、同じように国債を買って不景気に備える動きが見られました。

一方で、株式市場の投資家たちの考え方は少し違いました。

これからやってくる業績の悪化よりも、今まで苦しんできた高い長期金利の環境が改善しつつあることを喜んでいるのか、この日の米国株は全般的に買われました。

以前にも書きましたが、株式投資家はまだ景気後退が来ると思っていないのか、企業の利益予想をかなり高めに予想している節があります。

まだ投資家が十分悲観的になる余地が残っているので、まだこれから大きな下落はやってくる恐れは十分にあると思います。

4-6月期のGDP成長率も悪化


この結果を受けて、アトランタ連銀のサイトは少し興味深い数字をはじき出しています。

アトランタ連銀のGDPNowというサイトでは、発表済みの経済データを使ってアメリカの4-6月のGDP成長率予想を算出しているのですが、ISMの結果が悪かったことを反映してGDP予想を下方修正させました。

  • 修正前:マイナス1.0%
  • 修正後:マイナス2.1%

もしも、この修正後の通りのGDP成長率となるとアメリカの今の景気は相当に良くないことになります。

2四半期連続のGDPマイナス成長の可能性はまた一段と高まったように見えます。


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