12月のアメリカ・サービス業の景況指数が発表されましたが、どうも結果は良くないようです。
2023年は製造業がボロボロだった中で、サービス業の好調がアメリカを支えてきましたが、少しずつサービス業も足腰が弱って来ているように見えます。
この記事のポイント
- 12月のISM非製造業指数は予想ほど良くなかった。節目となる50をわずかに上回るだけで、景気は横ばいにとどまった。
- サービス業の雇用が12月に大きく悪化した模様。米経済を支えたサービス業に低迷が続くなら、今後も少しずつ景気後退への懸念が増していく。
ほぼ横ばいにまで減速したサービス業の景気
ISMから12月のサービス業の景況指数(景気の強さ)が発表されているので、確認していきます。
- 予想:52.5
- 結果:50.6
この結果は50を下回ると前月に比べて景気が悪化したと見ます。今月の数字50.6はぎりぎり景気は拡大しているものの、景気悪化までかなり近づいてきたことを意味します。
今までのアメリカでは製造業は景況指数50を割り込んでいても、サービス業(非製造業)が50を超えてアメリカ経済全体を支えていました。
しかし、サービス業も50を割りそうになっていることを考えると、そろそろアメリカ経済全体の雲行きが怪しくなってきた印象はあります。
雇用データの悪化
とはいえ、サービス業もトレンドとして少しずつ景気拡大スピードが落ちており、そろそろISM非製造業指数が50を割り込む時期が近いという話は数ヶ月前からこのブログでしてきました。
以下はISM非製造業指数を回帰分析したものですが、2022年から続く景気拡大の鈍化のペースが続いているなら、既に50を割り込んでもおかしくないという結果がでています。
なので、12月のISM製造業指数が50スレスレになっていることは驚きではありません。今回驚いたのは、その内訳でサービス業の雇用指数(以下図)が大きく低下していたことでした。
雇用指数は前回の50から43へと7ポイント減少しており、サービス業の雇用環境は12月に大きく悪化していることがわかります。
ISMのレポートで雇用に関するコメントを拾い読みしていると、「過去数ヶ月で専門職や人材派遣の分野で人員削減が増えている」というものが見られました。
2023年の大半でアメリカは雇用が強い状態が続いていましたが、最近はそろそろ雇用も限りが見えてきているようにも見えます。この動きが継続するのかどうかは、引き続き確認が必要そうです。
さいごに
ISMサービス業は雇用の急減速が見られるなど、内容は良くなかったと思います。
それでもまだ余裕のある世帯による消費でアメリカ経済全体はしばらくは景気後退は免れて、株も大きくは下がるタイミングはまだ来ていないと思っていますが、アメリカ経済は改善する方向ではなく緩やかに悪化へと向かっている印象を受けます。
日本国内にいる米国株投資家は新NISAなどで投資意欲が増しているのかもしれませんが、私は引き続き米国経済のソフトランディングには懐疑的な見方をしており、今は中長期投資目的で米国株を買いに行く段階ではない気がしています。