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解釈に困る8月のアメリカサービス業の景気

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今年のこのブログでは経済指標について、いつも以上にたくさん取り上げています。

2022年か2023年にもアメリカの景気が本格的に崩れると考えているのですが、その変化を追いかけて株が大きく崩れた場合にいち早くその時期に気づきたいという思いから、まだ景気が強い時期から少しずつ色んなデータを見ていきました。

実質GDPなどいくつかの数字は既にマイナスになっていますが、雇用などの以前として力強いデータもまだまだ存在しています。

しかし、中には調子が良いのか悪いのかイマイチよくわからないものもあります。今回は調子の善し悪しがハッキリしないアメリカのサービス業の景気を見ていきます。

この記事のポイント

  • ISMサービス業指数の8月のデータが先週発表されたが、まだまだ景気拡大を続けている。
  • しかし、S&Pグローバルが発表した8月のサービス業の景気悪化を示す数字とは様子が異なる。

8月のサービス業の景気


アメリカの景気を確認するためにISM製造業指数を確認する投資家は多いです。

一方で、ISMは『非』製造業景気指数というものも提供していて、アメリカは製造業よりもサービス業がメインになっていることを考えると、ISMの『非』製造業景気指数も注目に値するデータだと思います。

先週、8月分のISM非製造業景気指数が発表されたので、結果を確認していきます。

  • 予想:55.3
  • 結果:56.9

これを見る限り、8月のアメリカのサービス業の景気は良かったと思います。

「50を下回ると景気悪化、50を上回れば景気拡大」と見るのですが、今月の結果は56.9なので景気拡大が続いたという意味でも、事前の予想を上回ったという意味でも、アメリカのサービス業の景気はまだ強かったと言えそうです。

下のグラフで最近の変化を追いかけてみると、去年よりは景気の強さは鈍化しているものの、この数ヶ月のサービス業の景気はやや上向いていることがわかります。

企業活動は活発化し、インフレ圧力低下

8月のデータの内訳を見てみると、これまた内容が良いです。

企業の活動は前月よりも活発化して新規の受注も雇用も増えている一方で、物資の供給遅延は緩やかになり価格の伸びも鈍化してインフレの圧力が低下していることがわかります。

項目 8月 7月 変化
企業活動 60.9 59.9 +1.0
新規受注 61.8 59.9 +1.9
雇用 50.2 49.1 +1.1
供給遅延 54.5 57.8 -3.3
価格(支払) 71.5 72.3 -0.8

強弱見られるアメリカの景気


8月のISM非製造業の結果だけ見れば、景気を維持したまま物価の上昇が緩やかになっていて理想的な展開に見えます。

しかし、わからないのは同じ8月のデータでも、S&Pグローバルが発表しているアメリカのサービス業の景気指数は結果が大きく異なることです。

このデータも50を下回ると景気悪化を意味するのですが、8月のアメリカサービス業は43.7で大きく低迷しています。調査対象の企業も集計方法も違うのでしょうが、少し結果の解釈に困るようなデータになっています。

全体的にアメリカの景気は昨年から今年にかけて低下傾向なのですが、この記事で見たようにいくつかまだ景気の強いデータが出てくるところを見ると、アメリカの今の景気は悲観一色というわけでもなさそうです。

私は2022年の途中からアメリカと米国株に関して悲観的なことを書いてきましたが、ISMなどのように「まだ景気が強い」という結果が一部でも出てくるところを見ると、今回のサイクルで景気や株価が崩れていく様子はやや長い道のりをたどるのかもしれません。


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