2020年では一部の銘柄を除いてまだバブルのような上昇相場にはなっていないと思っていますが、ハイテク銘柄の上昇は著しく、今後1-2年かけてバブルになる可能性も否定できません。
そうなった場合に、一番状況が近いのは2000年のITバブルです。この記事では、今後やってくるかも知れないハイテク株のバブルに備えて、2000年のITバブルでの上昇相場の動きを振り返っておきたいと思います。
この記事のポイント
- 景気の過熱を抑えるための利上げをしたからと言って、すぐに米国株が下落したわけではなかった。利上げ開始からダウは7ヶ月で+10%、ナスダックは9ヶ月で+100%上昇した。
- 割高な株ほど、先に価格が下落するのかと思ったがそうではなかった。ダウ平均に多い古い企業のほうが金利の上昇に素直に反応して価格をさげたが、一部のハイテク銘柄の価格上昇は止まらなかったため、さらなる利上げが行われた模様。
ITバブルの崩壊は、FRBが景気を冷やすために利上げをしたことがきかっけと言われていますが、利上げ後すぐに株が下げたわけではないようです。
だた、一部のバブル相場が見られたハイテク銘柄以外の銘柄が利上げの影響で株価が下げ始めたら、いくら時代に愛されたハイテク銘柄といえども、下落のタイミングはまもなく訪れるようです。
2000年のITバブルと背景
基本的なことですが。アメリカの2000年のITバブルについておさらいしておきます。
インターネット関連銘柄を中心に90年代後半から株価が急上昇し、2000年でピークをつけてバブルが崩壊して、2003年までにナスダック総合指数で約80%の下落、ダウ平均でも約40%の下落を記録したバブル相場です。
ITバブルの背景は現代のアメリカに似ている
実は、このITバブルの背景は近年のアメリカとよく似ています。
ITバブルが発生する前の90年代後半は、アジア通貨危機やロシア危機などアメリカ以外の景気の減速がはっきりと現れた時代でした。98年にFRBはアメリカがまだ景気がまだ良かった状態にも関わらず、景気悪化を事前に防ぐための3回の利下げ(保険的利下げ)をして、米国株が力強く上昇し始めた背景があります。
この状況は中国を中心に製造業が不振に陥り、世界の貿易額も急減速した2019年に似ています。この時もアメリカはまだ景気が良かったのに3回利下げをして株高になりました。
その後、2020年には新型コロナウイルスの景気対策のために歴史的な規模の金融緩和が行われたので、コロナでも売上に悪影響が及びにくかったハイテク企業の株は、さらに強化された金融緩和を追い風に上昇しています。
ITバブル期の株価の動きについて
さて、利下げなどの金融緩和を背景に上昇してきた株ですが、金融緩和が終わって利上げされたとしても、すぐに株価の上昇が止まったり、バブルがはじけたわけでも無いようです。
利上げしてもすぐに株安になったわけではなかった。
以下のグラフを見ると、FRBによって政策金利が利上げされた時期からダウ平均がピークをつけるまでは7ヶ月(利上げ開始から+10%上昇)、ナスダックは9ヶ月(利上げ開始から+100%上昇)の期間があったことがわかります。
しかも、ナスダックは利上げ後開始後の株価上昇が特に著しく、利上げ開始からピークをつけるまでに株価は倍に伸びています。
ただし、この上昇分はバブル崩壊後に全て消し飛んでいるので、あまり気にしなくても良いかも知れません。
昔からの格言で「頭と尻尾はくれてやれ」という言葉がありますが、上昇相場の最後に訪れる上昇分は他の投資家にくれてやるくらいの気持ちに余裕を持ったほうが良いようです。
割高なハイテク株ほうがダウ銘柄よりも後に株価が下落した
さて、上のグラフを見ていて、もうひとつ気になるのは、利上げによる株価下落は想定的に割安だったダウがほうが早く訪れて、割高だったナスダックは2ヶ月もピークをつけるのが遅かったことです。
通常の投資家心理なら割高な株ほどいち早く株価を下げて調整しそうですが、バブルで過熱感がある場合には普段の冷静さは失われているのでしょうか。
ともあれ、2000年のナスダックを構成するIT銘柄は、FRBが株高を牽制しても、利上げしてもなかなか上昇を止められない状況にあったようです。
今後ももしもハイテク銘柄でバブル相場になるようなら、このときと同じ動きが見れるかも知れません。
つまり、ダウ銘柄のような人気が過熱していない企業の株は利上げに素直に反応して株価が下がる一方、過熱している株は割高なのにしばらく上昇を続けたら、まもなくハイテク株もピークが近いのかもしれません。
まとめ
- 利上げをしたらすぐに株価が下落するわけではない。しかし、利上げが進むほどに株価のピークは近づく点に注意。
- ダウ銘柄のような過熱していない銘柄が、利上げの影響を受けて株価を下げ始めたら、まもなく過熱している銘柄にも株価下落が始まる可能性がある。