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高止まりが続いたアメリカの求人件数も低下の兆候

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アメリカのインフレはすでに大きな問題ではないと私は思っています。

そして、そのことを示すデータも出始めて来ています。

昨日、2月のアメリカの求人件数(JOLTS)の発表がありましたが、他の経済指標に比べて遅れて発表されることで有名な求人件数でも雇用の過熱が収まる兆候が見られています。

このまま雇用の過熱が取れるなら、アメリカのインフレは高止まりせずに低下していくはずです。

この記事のポイント

  • 2月の求人件数は前月と同程度が予想されていたが、予想を下回った。
  • 企業は今までの積極的な人員募集から慎重姿勢へと変えつつある。
  • 雇用が冷えればアメリカのインフレは沈静化へと進む。また、今後にアメリカの景気後退があると予想するなら米国債やゴールドの保有が吉。

2月に冷え込んだアメリカの求人件数

2月に低下が見られたアメリカの求人件数を見ていきます。

  • 予想:1050万件
  • 結果:993万件(前回は1056万件)

2月の993万件はまだコロナ前(2019年)に比べるとかなり高い水準ではあります。それでも、高止まりが続いていた2022年に比べると、明らかに低下傾向に入ったように見えます(下グラフ)。

もはや2022年の求人件数のピークの1200万件に戻る気配はありません。

この1年間では200万件の求人数が減りましたが、このペースがあと1年続けばコロナ前に迫る求人件数800万件割れまで見えてきます。このペースは悪くないと思います。

むしろ、2023年のどこかでリセッションがやってくることを考えれば、コロナ前を大きく下回る水準にまで求人数が減る可能性も十分に出てきたと思います。

インフレの高止まりは解消へ

今回のアメリカの景気サイクルでは、企業の景況感が弱くても、雇用だけはかなり強い状況が続いていました。

しかし、その動きがついに変わりつつあるのを感じる2月の求人件数だったと思います。

過熱が続いていた雇用が冷えれば、インフレは高止まりから低下に向かうはずです。これはインフレにとっては良いニュースです。

求人件数が高止まりからの低下が続くなら、まだ時間はかかるかも知れませんがアメリカの消費者物価もPCEデフレータも高止まりではなく低下へと向かうはずです。

市場の反応

昨日の求人件数が発表された後、インフレ期には大きく売られていた米国債はインフレ低下の兆候に喜んだのか大きく買われました。

また、国債買い(金利低下)を喜んだはゴールドも大きく上昇しています。

一方で、浮かない顔をしたのは米国株です。昨日はインフレ低下や金利低下で好材料を受けやすいナスダックも売られました。

株の下落は景気後退が近いことを警戒しての売りだったのかも知れませんが、ハッキリしたことはよくわかりません。

ただ、景気後退が近い時期には株はやはりあまり上昇が長続きしません。株は金利低下による株価上昇要因と、景気悪化による収益悪化の株価下落要因があるからです。

それよりも、今は金融引き締めの終りの恩恵を受けられる米国債やゴールドのほうが見通しが良いのだろうと思います。


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