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1月求人件数は低調でも、アメリカの景気後退はまだ遠い。

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昨日のブログで、最近のアメリカの雇用の弱まりが見られるという内容を書きました。

>>ISMのデータで気になるアメリカの雇用の弱まり

その見方があっているかを別のデータでも確認していきたいと思います。ここでは昨晩発表のあった1月の求人件数を見ていきます。

この記事のポイント

  • 1月の求人件数は予想を下回って、低下している様子が見られた。
  • また、自発的な離職率も採用率もコロナ前をすでに下回っており、コロナ後の雇用の強いブームは終わりつつあることを印象付けた。
  • しかし、それでも企業は人員削減のペースを増やしていない。よって、アメリカの景気後退まではまだ時間がかかる見通し。

低調だった1月求人件数

1月の求人件数は予想を下回る低調でした。

  • 予想:889万人
  • 結果:886万人

また、前回まで発表されていた数字は、過去2年くらい遡って修正されているようです。大まかな傾向では2022年分のデータは上昇修正、2023年以降のデータは下方修正という感じです。

その他、雇用が弱まっていることを示すデータが発表されているので、具体的に見ていきます。

下のグラフは、転職などを理由に自発的に離職する人の割合を示したものです。

過去数年間でこのデータは過去に見ないほど急上昇して、多くの人が給料アップを求めて転職していたことを示していたのですが、すでにその過熱は落ち着きコロナ前や金融危機前にも見られたレベルにまで低下してきています。

雇用の強い時期は過ぎて、平時に戻りつつあるようです。

また、企業の採用率(下図)もコロナ前を下回っていて、企業の採用活動は鈍っている様子が伺えます。

人員削減の動きは見られない

ここまで、雇用強さは失われて弱まりつつあるという話をしました。しかし、それでもまだまだアメリカは景気後退には遠いようです。

景気後退に陥るためには、人員削減などが行われて個人の消費が大きく落ち込む必要がありますが、人員削減の動きはまだまだ加速していません。

ここまでの内容を合わせて考えると、どうもアメリカの雇用は動きが少なくなっているようです。

転職による給与アップがあまり望めなくなってきたので労働者は職を離れない、企業は採用を減らしているが人手不足に逆戻りするのは困るので人員削減をしない、というように雇用の動きが鈍化しています。

この動きは企業の体力が持つうちは続きそうで、人員削減が進まないならアメリカの景気悪化まではかなり長い道のりがかかりそうです。

この状況は私にとっては、かなり嫌な展開です。

景気後退がまだこないなら投資先としては株が有利ですが、割高に感じる今の米国株には投資する気にはなれません。

この1年間はビットコインが上がってくれたのでまだ良かったですが、ビットコインの上昇が止まったら、本当に投資先に困りそうです。


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