コカコーラのの2021年4-6月期の決算が発表されました。
結果はとても良かったです。予想されていたよりも売上も利益もずっと良い結果が報告されました。
また、前年がコロナで業績不振だったこともあって、コカ・コーラらしくない高成長な成長率が見られるというちょっと珍しい決算になりました。
この記事のポイント
- コカ・コーラの決算は売上も一株利益もともに予想を上回る決算だった。
- 売上も営業利益もともにコロナ前の2019年の水準を超えて、復活を印象づけた。
コロナ前の売上を超えたコカ・コーラ
それでは、2021年4-6月期のコカ・コーラの業績を確認していきます。
売上も一株利益も予想されていたよりも、大幅に良い数字が発表されています。
- 売上:101.3億ドル(予想93.2億ドル、前年比+42%)
- 一株利益:0.68ドル(予想0.56ドル、前年比+61%)
前年比で売上+42%、一株利益+61%という安定成長のコカ・コーラらしくない数字がならんでいるのは、前年がコロナの不況で業績が不振だったためです。
また、売上の数字に注目してみると、100億ドル超えはコカ・コーラとしてはコロナ前の2019年以来のことで、パンデミック前の売上水準に回復をしたことになります。コロナからの復活を印象づける決算になりました。
営業利益についても前年比の成長率は前年のコロナの影響で大きく見えていますが、こちらもコロナ前の2019年を超えています。
オーガニックセールスも好調
コカ・コーラの業績の好不調を判断するには、オーガニックセールス(為替や買収の影響を除いた売上)を見る必要があると言われています。
通常、コカ・コーラほどの成熟した企業では、この成長率は一桁前半から半ばですが、このオーガニックセールスは今期はかなり良かったです。
ただし、今期の+37%の前年成長率の数字にそれほど意味はないかも知れません。
というのも、この数字も前年の著しい業績の低迷の影響で、今期が大きく伸びたように見えているからです。むしろ、こうした特別な事情でもないと二桁の成長率を見ることができません。
それでも、長年のコカ・コーラを保有していた株主としては、いつも数%の地味な数字ばかり見てきたのに、成長率が大きく見えるのは嬉しいものです。
なお、地域別にオーガニックセールスの成長率を見てみても、どの地域も大きくのびています。
前年比 | オーガニックセールス |
---|---|
ヨーロッパ | +61% |
ラテンアメリカ | +39% |
北米 | +28% |
アジア太平洋 | +21% |
全体 | +37% |
前年の4-6月にまだ店舗をほとんど閉鎖していたヨーロッパでは成長率が高く、反対にいち早く新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込んだ中国を含むアジアの成長率は、他よりもやや低めになっています。
さいごに
ここまでコカ・コーラの業績が良好だったこと、特に2019年の売上を上回ってコロナの業績不振を振り払った点について書いてきました。
少し興味深い点のは、2019年の売上を上回ったからと言って、完全にコロナの傷跡が言えたわけではないという点です。
決算報告でコカ・コーラのジェームズ・クインシーCEOが話していたのですが、コカ・コーラ社のドリンク売上を「在宅用」と「(レストランなどの)在宅以外」に分けた時、外で消費される「在宅以外」の売上はまだ2019年のレベルまで戻っていないようです。今のコカ・コーラの業績は、強まった在宅需要に素早く対応できた結果なのだろうと思います。
クインシーCEOいわく、同じような現象はマクドナルドやケンタッキーなどのファストフードでも見られていると言います。店内売上は2019年にまで回復していなく、テイクアウトやデリバリーに力を入れた企業は、業績を戻しているようです。
反対に、こうした企業の努力がしにくい航空や旅行業界は、コロナ前の水準に完全に戻るには時間がかかるようです。
コカ・コーラもファストフードも航空業界も、2020年の新型コロナウイルスに悪影響を受けたことは間違いないですが、他の売上を伸ばしてリカバリーができるかが業績回復の早さにつながっています。
こういう話を聞くと、やはり個別株は面白いなと思います。
最後に今後のコカ・コーラのアナリスト予想を見てみますが、今後も順調に一株利益を伸ばすものの、予想PERはコカ・コーラにしてはやや割高な状態にみえます。
コカ・コーラに投資したいと考える投資はほとんどが長期的な保有を考えている人だと思うので、そういう人は「やや割高」でも買い増しをして良いと思いますが、短中期を得意とする投資家なら今はそれほど安くはないので、この銘柄を買うタイミングは待っても良さそうです。