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マクドナルドは一部で人工肉バーガー販売もまだ懐疑的。キードライバはコスト。

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海外企業のニュースを見ていると、2019年に入ってから食品大手企業がこぞって取り組み始めている話題があります。

「植物性の人工肉」です。決して未来の話をしているのではなく、既に多くの欧米の食品大手企業が採用するか否かを決断する局面にあります。2019年の4月以降だけでもこれだけのニュースが飛び交っています。

ちなみに、アメリカで植物性の人工肉を製造する代表的なインポッシブル・フーズ社とビヨンド・ミート社の2社うち、ビヨンド・ミートは2019年5月2日に上場して1ヶ月で株価は50%急伸しています。

にわかに注目を集めている人工肉ですが、植物性の人工肉とは何なのか、そして未だに企業は恐る恐る人工肉に取り組んでいて懐疑的ですが、なぜこれが流行るのかについてお話します。

植物性の人工肉とは

「えっ、さっきから言っている植物性の人工肉って何?美味しいの?」という人もいるかと思います。

はい、食べた人の感想を聞く限り美味しいらしいです。というか、本物の肉と比較しても違いがわからないという人がかなりいるらしいです。日本人にも馴染みのある豆腐ハンバーグなどと違って、風味や匂いまで本物の肉そのものといえる完成度だそうです。

作り方の手順はこんな感じです。ローストビーフ作るよりも簡単そうですね。

  • 1.小麦タンパク質、じゃがいもタンパク質を混ぜ合わせ、食感を出すために細かくした野菜を混ぜる。
  • 2.ビタミン、アミノ酸、砂糖、肉の風味を出すために”ヒム”と呼ばれる赤い液体(血液内で酸素を運ぶ成分)を混ぜます。
  • 3.つなぎに、天然粘性のあるキサンタンやコンニャクを混ぜます。
  • 4.最後に脂質としてココナッツオイルと大豆を混ぜて、焼けばハンバーガー用植物性人工肉の完成です。

作り方は、動画を見たほうが早いかも知れません。インポッシブルフーズ社の次の動画で42秒から解説してくれます。(42秒から再生されます)

1分40秒時点、この肉汁が出てる感じ、結構美味しそうですよね。

より詳細に人工肉について、こちらのサイトに人工肉の詳細についてまとめてありますので、一読をお勧めします。

[2019年版] 最先端のクールなビジネス、人工肉市場の最新動向。(NEWS CARAVAN)

企業が人工肉を採用するメリットは、今後のコスト低減

マクドナルドはドイツでネスレの人工肉を使ったハンバーガーを販売していますが、CEOのSteve Easterbrook氏は既存顧客から代替肉の強い要望はあっても、新規顧客に結びつくか疑問だとして慎重な姿勢を見せています。

警戒しながらも大企業が少しずつ参入していく様子は、ブロックチェーンの広がりにも似ています。

人工肉が流行ると思っている人はベジタリアンの需要拡大で市場が大きくなるという見方が多いですが、私の考えはちょっと違います。

そもそもベジタリアンは世界規模で見てもそれほど多くないですし、ベジタリアンを名乗ってもしばらくして「ベジタリアンは止めました。やっぱり肉は美味しいです」というハリウッド俳優・女優を見ていると、一種のブームでベジタリアンをやっている人もいるように思います。このような弱い需要では、企業が人工肉参入に懐疑的になるものうなづけます。

私が考える企業にとっての人工肉に参入する最大の理由はベジタリアンの需要取り込みではなく、コストです。今はまだ本来の肉よりもやや高いか同程度の価格ですが、人工肉の生産コストは年々が落ちている点に注目しています。

たとえば、植物由来の鶏肉を製造するニュージーランドのスタートアップ「Sunfed Meats」は、生産規模を拡大することで「畜産の肉を含めて、世界一安い肉を作る」と公言しています。

また、今ままでずっと植物性人工肉の話だけしてきましたが、実は世の中にはもっと進んだ研究があり、幹細胞から肉の組織を人工的に作り出す「培養肉」と呼ばれる研究も活発に行われています。その培養肉ですら、英バース大学研究所は2020年代食卓に並ぶまで価格が落ちると公言しており、植物性人工肉が本物の肉より生産コストが下がるのは数年とかからない可能性があります。

コストが下がれば利益のために話に乗ってくるのが企業というものです。

バーガーキングやマクドナルドは今は進んだ取り組みとして植物性人工肉を取り入れ始めています。ですが、今後人工肉の生産コストが本物の肉より下がったら、人工肉が標準メニューになり、本物の肉は「ナチュラルビーフバーガー」という名の高級品として売られる日が来るかも知れません。


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