長期投資家の皆さんへ:失敗のススメ2

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投資スタイルを確立することのリスク

たいていの場合、人に何かを教える時、もっとも多くを学んでいるのは教えている教師本人です。

前回の記事では、投資をこれから始めるひとに対して、「たくさん失敗したほうがいい」という私の経験を交えてアドバイスをしました。失敗した時の学びを活かすために、損しないように慎重を期して失敗を排除する方向に走るのではなく、何度も失敗できるように挑戦回数を多くて、損する度に学びながら最終的リターンを大きくするのが、この考えの根本にあります。

前回の記事:これから投資を始める人へ:失敗のススメ

これから投資を始める人へ:失敗のススメ

この前回の記事を書きながら、教える側の私が感じたのは、既に投資をしている私のような人間こそが「もっと失敗をしたほうがいいのでは」ということでした。アメリカ株の個別投資をするという確立したスタイルを掲げて投資をしていますが、このスタイルに過度に固執することで新しい挑戦とその失敗の学びを得る機会を失っているのではないか、と疑問がわきました。

実は、このような失敗をしながらベストな行動を模索していく試行錯誤の取り組みは、近年あらゆる企業でも見られています。

企業の取り組みから見る試行錯誤

実は、失敗をすることを計画に入れつつ成果をだす取り組みの仕方は、近年になって多くの企業で取り入れられている考え方です。

たとえば、失敗を見越した取り組みは企業のデータ分析の場で多く見られます。携帯電話会社は売上の減少につながる解約を防ぐために、過去のデータをもとに毎月の解約数予測分析をして、その分析結果に応じて解約を防ぐための打ち手を検討していたりします。

さて、ここで問題です。この解約予測のためには、どんなデータを使えばいいでしょうか。過去の解約件数データでしょうか?何日分のデータがいるでしょうか?そのデータに、年齢・性別・契約年数の情報があったほうが予測精度が上がるでしょうか?

正解は「やってみないとわからない」です。残念ながら、データ分析は何かしらデータを集めて、どっかのコンピュータで計算したら、人間よりも精度の高い予測ができるような魔法ではなく、何のデータを集めて、何の手法で計算したら予測といえるほどの高い精度がでるか、具体的に突き詰めて計算する取り組みを何百回と試行錯誤する地味な作業です。

最悪、試行錯誤の結果、予測と言えないような分析結果に終わる場合もありますが、企業のデータ分析では、はじめから何百回も試行錯誤して、失敗しながらベストな分析を模索するのが定石になっています。

プロの世界の試行錯誤

さて、プロの世界でもこうした試行錯誤はいたるところで見ることができます。

イチローも松井も大谷もメジャーリーグに移籍して以降、なぜ日本で活躍した時のバッティングフォームを変えたのでしょうか。また、イチローに至っては、メジャーリーグに移ってからも毎年のようにバッティングフォームを少しずつ変えますが、それはどうしてでしょうか。

投資家のバフェットは、かつて自分にはわからない世界だとしてIT企業に投資しませんでしたが、この10年間はIBMとアップルを購入したのはなんでしょうか。

それは、変化する環境に対応するためです。どこかのダーウィンという生物学者が「生き残るのは最も強い種ではなく、最も環境に適応できる種である」だと言っていましたが、大谷もイチローも松井もバフェットも自分のスタイルを崩してまで、変化する試行錯誤の道を選んだのでしょう。

投資の世界の試行錯誤

やや話が膨らみすぎたので、株の話に戻します。私は投資を初めてから十数年、今はアマゾン、マスターカード、ディスニー、スターバックスなどのアメリカ企業の株(個別株)に投資するスタイルで取り組んでいます。ですが、このスタンスに固執することの長期的なリスクも見えてきました。

  • アメリカの中央銀行(FRB)が大量に抱える債権の処理を今後進めた時に、急な景気の悪化が起きないか。その処理を途中で止めた場合に、次の不況にどんな影響が起きるか。
  • 仮想通貨は今度どのような発展/衰退の道をたどるのか。インターネットのように国境を超えて使われる技術になるか。具体的には、米欧日の日銀が大量に債権を抱えていることで既存の通貨の価値が下がると同時に、仮想通貨へ資金が流れる動きはあるか。
  • 2014年から2030年にかけて、中国/インド/インドネシアのGDPは2倍になるが、この成長に投資しないでいいか。
  • 2030年から2050年にかけて、ナイジェリアは人口爆発を起こしてGDPも3倍になるが、この成長に投資しないノーマークの状態でいいか。

ざっと思いつくだけで、これらの大きな環境の変化がこれから待っています。こうした環境の変化にずっとアメリカ個別株だけを投資し続けるのは他の投資チャンスを逃している気もします。今後は、今のアメリカ株のスタンスを軸足に置きつつも、少しずつアメリカ個別株以外にも取り組んで、検討したいと思います。

まとめ

前回の記事では、投資をこれから始める人に向けて「もっと失敗すればいいでは?」という話をしました。投資を始める人は、たくさん失敗をして学んで、いち早く自分にあった投資スタイルを確立したほうがいいと思うからです。

一方で、今回の記事では、私も含めて既に自分のスタイルで投資をしてる人に向けて、同じく「もっと失敗したほうがいいのでは?」という旨の記事を書きました。ただその意味合いは、投資初心者向けとは全く違います。20-30年単位の大きな環境の変化に備えて、せっかく確立した自分の投資スタイルでも、少しずつ変えていくための試行錯誤がいると思っています。

もしも、投資は一生続けるものだという認識があるならば、環境に合わせて、自分の投資スタイルを変えるために、長期的に試行錯誤するのはいい選択だと思います。


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